令和の新時代を担う才能豊かなランナーが、東北長距離界から羽ばたく。高校駅伝の名門・仙台育英(宮城)陸上部に今春、昨年の全国中学選手権1500メートルを制した吉居駿恭と米沢奈々香の男女2人を含む有力1年生13人が入部した。吉居駿と米沢は4月28日、高校初レースになったチャレンジミートゥinくまがや(埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)で、ともに自己ベストを更新。全国高校駅伝の王座奪還を狙う同校のために、切り札に名乗りを上げた。【取材・撮影=佐々木雄高】

米沢も高校でのレースデビューを自己記録更新で飾った。チャレンジミートゥで女子3000メートルに出場。今季アジアユース3000メートル優勝の先輩・木村梨七(3年)と100分の18秒差の9分24秒29をマークし、総合3位で表彰台に立った。3月下旬の日体大記録会1500メートルでも4分25秒31の自己新をマークしており、「1つ1つの大会を悔いなく終わりたい」と常にベストを尽くす。

昨夏は全国中学選手権1500メートルを初出場で制覇。残り200メートルからスパートし、静岡勢として20年ぶりの同種目優勝を果たした。「ラストには自信があります。もっとスタミナをつけて(正確な)ペースを刻めるようにしたい」と目標を掲げる。「駅伝で活躍して施設も大きく整っている」と仙台育英に進学。親元を離れた寮生活も「みんな同じなので」と、中学1年まで続けていた剣道初段の精神力で乗り切る。釜石慶太監督(31)は「手足が長い伸びやかな走りでスピードがあり、ラストもキレる。僕の仕事はケガをさせないことだけ」と見守る。

昨年、全国高校駅伝3位のチームは2年ぶり4度目の高校日本一を狙う。昨年の全国出走メンバー4人が健在。チャレンジミートゥの同種目では、同じく今春入学の山中菜摘も9分32秒33の自己新で総合6位に入った。釜石監督は「(優勝した)2年前より『名前』はそろっている。(1時間)6分台で優勝を狙える力はある」と王座奪還への自信を口にした。

◆米沢奈々香(よねざわ・ななか)2004年(平16)2月24日生まれ、静岡・浜松市出身。北浜小1年から美薗ランニングクラブで陸上を始め、S&B杯ちびっ子健康マラソンで県内負けなしの6連覇達成。北浜中3年時の昨年は全国中学選手権に初出場し、1500メートル優勝。国体少年女子B1500メートル3位。ジュニアオリンピックは1500メートルで3年連続出場で2年時3位、3年時に優勝。家族は祖母、両親、兄2人。158センチ、44キロ。