サニブラウン・ハキームが日本代表リレーチームと初合体した時、東京五輪金メダルの確率も高まる。日本陸連の土江寛裕五輪強化コーチ(44)は「いつでも9秒台が出る選手と思っていた。そんなにアクセルを踏んでいない(状態で)リラックスしてあのスピードが出る。(6月の)日本選手権はとんでもないタイムが出るのでは」と予想した。

リレー侍の最終兵器になる。土江コーチは「第3走者はないが、それ以外はある」と青写真を描いた。改善されたスタートは第1走者、200メートルの持久力は第2走者、勝負強さはアンカーとさまざまな顔を持つ。カーブでバトンを受けて渡すという最も難しい第3走者以外はどこでも可能性がある。

第1走者なら かつてはスタートが苦手だったが、3月に室内大会の60メートルで日本タイ記録の6秒54を記録。加速に磨きをかけている。リレーで唯一スターティングブロックを使用できて、バトン動作は次の走者に渡すだけで済む。

第2走者なら 他の区間に比べて走る距離が長く、各国のエース級がそろう激戦区間。20歳は17年世界選手権200メートルで史上最年少決勝進出を果たしており、適性がある。バトンを受けて渡す、という2つの動作があるが、フロリダ大では第2走者を務めている。

第4走者なら アンカーは勝負強さが必要な花形区間。サニブラウンは後半の伸びが持ち味で。バトン動作も前の走者から受けるだけで容易だ。

サニブラウンは、日本代表として400メートルリレーを走ったことがない。世界選手権に15年北京、17年ロンドンと2度出場もリレーは疲労やバトンパスの精度を考慮されて不出場。17年ロンドンは第1走者で起用するプランがあったが、けがで見送られた。日本のお家芸である「アンダーハンドバス」で呼吸を合わせる必要があるが、初合体すれば大きな武器になる。

日本代表リレーチームは7月のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会に出場予定。土江コーチはサニブラウン側に「打診はしています。リレーはエース級が配置されて、その上で特殊能力を持っている人を配置する」と話した。今後も調整が必要だが、大幅な記録更新の可能性もある。【益田一弘】