12年ぶり7度目の総合優勝はユズらない! 来年1月2、3日に行われる箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝)に出場する21チームの区間エントリーが29日に決まり、発表された。駒大の中村大成(4年=東北)は、仙台市内の実家が男子フィギュアスケート羽生結弦(25=ANA)の隣のマンション。小、中、高の後輩でもあり、身近な存在だった王者の「羽生魂」を、箱根路でも受け継ぐ。起用は2年連続での6区山下りで、区間新更新へアクセルを踏む。

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駒大の中村大成が羽生結弦の背中を追う。親交は深いわけではないが毎日、マンション下で出会ってきた大きな存在。「学校に行く時もJAPANのジャージーを着たりしていて、スターだった。オリンピック(五輪)で金メダルを取ってからは、さらに誇らしいです」。陸上とフィギュア。競技は違えど、目指すべき最高のアスリートだ。

特に七北田(ななきた)中や東北高時代には、担任の先生を通じ“羽生の教え”を受けた。「『羽生くんは勉強ができたんだ。それは授業中の集中力』だとか、『負けた時の悔しさを次へのやる気につなげていた』とか…。常に言われていましたね」と苦笑い。だが、今では感謝しかない。

駒大では挫折の連続だった。1年生だった17年は7年連続3位以内だった伝統が9位で崩壊。翌年は12位でシード権獲得すらできない屈辱を味わった。前回は自身初出場で6区6位と不完全燃焼。「前回は最後の3キロで両足がつって、完走すらギリギリの状態だった。チームも個人もジェットコースターみたいですけれど、悔しさがあったからこそ、優勝争いができるところまで来られていると思う」。大ケガを乗り越えてピョンチャン(平昌)五輪で連覇を果たした王者・羽生のように、逆境を打ち破る思いも強い。

初めて走った前回の山下りの反省も生かし、下半身を中心とした強化も万全。早朝で凍結する可能性もある路面だって“羽生魂”があれば問題ない!? 前回大会で青学大の小野田勇次(現トヨタ紡織)がマークした区間記録57分57秒を目標に掲げる。

羽生がもっとも輝いた五輪の舞台。駒大OBの中村匠吾(富士通)が東京五輪マラソン日本代表に内定したことで、大きな刺激を受けた。「自分も最近になって、五輪に出たいなと思うようになった。富士通に内定をいただき、さらに気持ちも高まった。1万メートルで日本代表にも挑戦したい」。箱根から五輪へ-。区間新と12年ぶりの優勝だけでなく、憧れの羽生先輩のように、JAPANのジャージーもつかみ取る覚悟を決めた走りを披露する。【鎌田直秀】

◆中村大成(なかむら・たいせい)1997年(平9)10月5日生まれ、仙台市出身。七北田中-東北。1万メートルの自己ベストは28分31秒82。今季は5000メートルと1万メートルで自己記録更新し、出雲は6区3位、全日本は5区6位。171センチ、55キロ。血液型O。同学年のチームメートに埼玉栄出身の“同名”中村大聖がいるため、愛称は高校名の「東北」。好きな芸能人は松岡茉優。