17、19年世界選手権男子400メートルリレー銅メダルの多田修平(24=住友電工)が、今季の100メートル初戦で4大会ぶり2度目の優勝を果たした。向かい風0・5メートルの条件下で、10秒46を記録した。

「感覚が最悪だった。練習より体が重かった。(久しぶりの大会が)楽しみでワクワクしていたけれど、アップから『やばいな』となり、うれしさが不安に変わりました」

今大会は新型コロナウイルスの影響で無観客で行われ、選手も待機場所での「密」を避けるため、レースに臨むまでの動きも変わった。その影響もあってか「集中の仕方をちょっと忘れた。未熟だった。スタートもダメ、中盤もダメ、後半も詰められて反省するところが多すぎる」。それでも日本選手権(10月1~3日、新潟)に向けて「タイムを上げて、来年の(東京)五輪につながる走りをしたい」と力を込めた。

この日は21年に延期となった東京五輪開幕の1年前。17年にマークした自己記録10秒07の更新、その先に見える自国開催の夢舞台を目指す思いは変わらない。

「来年の日本選手権で9秒台を出して優勝して、100メートルの代表として(五輪で)決勝に残るのを目標に、頑張りたいです」

生まれ育った大阪の地で、その決意を再確認した。【松本航】