陸上男子100メートルの山県亮太(28=セイコー)が28日、オンラインで取材に応じ、昨年11月に右足首の靱帯(じんたい)を切っていたことを明かした。

全治は「2、3カ月」で、東京五輪を見据え、手術はしなかったという。練習ではない場面で「不注意」と反省した。

昨季はフォームを崩し、日本選手権前には肺気胸にも見舞われる不運もあった。12年ロンドン大会、16年リオデジャネイロ大会と代表になり、自己記録を更新するなどオリンピック(五輪)には縁があった。それが地元五輪に向けては、うまくかみ合わず、もどかしさを感じていた。その中で1年延期に。「体を作り直す、走りを見直す時間を確保できた意味ではプラス。3大会目にも出たい。より一層強いものがある」と話した。その上で「五輪は世界が平和でないと開催できないと思う」とも述べた。

現在は「イメージ的には35メートル」まで前傾姿勢を維持できるフォームを固めている。それで好調時のような中間のスムーズな加速につなぐ。周囲の好記録ラッシュに取り残された昨季も「自分に向き合えたシーズン。得られた課題で新しい走りのイメージを得られた」と前向きに捉える。過去にも故障を乗り越えて、もう1段上のステージに成長できた。「昨年のシーズン前と比べても、いいタイムで走れている。技術的にも手応えがある」と語った。

今季初戦は8月23日のセイコーゴールデングランプリ(国立競技場)の予定。そして10月の日本選手権(新潟)にピークを合わせていく。もう厄はこりごり。残り1年は上昇気流に乗っていく。【上田悠太】