男子400メートルで日本歴代4位の45秒13の自己記録を持つウォルシュ・ジュリアン(23=富士通)が、29年以上も破られていない日本記録44秒78の更新を期待させる成長を示した。

この日は専門外の100メートルに出場。予選1組では10秒30(追い風1・1メートル)をマークし、桐生祥秀(24=日本生命)に次ぐ2着。これまでの自己ベストを0・2秒以上も短縮したという。桐生が優勝した決勝も10秒34(追い風1・4メートル)で2位だった。

「予選はガチガチに力が入ったが、力で押し切れた」と振り返った。完璧な形ではなかっただけに、まだ自身でも伸びしろを感じている。今後の目標は「10秒1台ですね」と笑った。

もともと本職の400メートルで、世界の強豪と競り合うにはスピードが足りなかった。オフには米国に渡り、東京オリンピック(五輪)の男子400メートル金メダル候補であるマイケル・ノーマン(22=米国)らと練習した。世界トップレベルの選手と切磋琢磨(せっさたくま)した。「やっぱり速い選手と走ると、感覚が研ぎ澄まされる。その点が一番よかった」と振り返る。またウエイトトレーニングの方法も見直し、スピード強化を図った成果を示した。「力の出す方向などをしっかり学べた。そこが大きく違うと思います」。米国で出会った知見を生かし、成長を続けている。

前半を力を使わずに走れれば、後半の失速を抑えられる。今、見据えているのは91年に高野進氏が樹立した日本記録44秒78だ。高野氏は44秒台で3度走っているが、他に「45秒の壁」を突破した日本人はいない。ウォルシュは「400メートルを走るのが楽しみ。日本記録をしっかり更新したい」。課題だったスピードの進化を証明し、言葉には自信がみなぎっていた。