23日に国立競技場で行われるセイコー・ゴールデングランプリ(日刊スポーツ新聞社共催)に女子やり投げ日本記録保持者の北口榛花(22=JAL)が出場する。昨年5月の木南記念では従来の日本記録を56センチ更新する64メートル36をマーク。さらに同年10月の北九州カーニバルでは66メートル00という超ビッグスローを見せた。春から助走を大きく変え、よりスピードが出る方法の習得に励む。不器用な方でもあり、技術の変更にはリスクも伴うが、東京オリンピック(五輪)の延期を受け、さらなる高みへ挑戦している。

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未知のウイルスは、五輪を先延ばしとした。「1年あるからこそできることはないか」。そのチャレンジを北口は探していた。1つの答えが助走の改善だった。

全体の歩数は16で同じ。変わったのは内訳。最初の正面を向いたまま勢いをつける「保持走」を8歩から10歩に。その後の体を半身にひねって進む「クロス走」は、反対に8歩から6歩とした。前向きに進む「保持走」が増え、横向きに走る「クロス走」が減るから、助走はスピードアップできる。それができれば、やりに伝わるパワーは大きい。もちろん飛距離につながる。

もっとも、手応えについては、「やっぱり難しいです」と大笑いする。バドミントンも水泳も全国クラスの実力を持っていた時期もあるなど運動能力は高いが、たしかに器用だとは言い難い。北海道・旭川東高で高校総体を制した時、助走はほぼしてなかったほど。もちろん自身も簡単に対応できるなど、みじんも思っていない。毎日、助走の感覚をつかむ練習を繰り返し、撮影してもらった動画をチェコにいるシェケラック・コーチにも確認してもらう。地道な作業と我慢の日々だ。昨年は自己ベストを4メートル62も一気に伸ばしたのに、変化を恐れず、次へ進む。22歳は成長途上。「次の目標は68メートル」。その向上心は果てしない。

新しい姿へ、今は模索の段階にある。セイコー・ゴールデングランプリについては「記録にはこだわっていない。練習していることが試合でどうなるかを確認したい」と話す。昨秋の世界選手権(ドーハ)は決勝まで、わずか6センチ届かず、大号泣した。1年後の国立では、日本記録の時のように、ぴょんぴょん跳ねて大喜びする。【上田悠太】

◆北口榛花(きたぐち・はるか)1998年(平10)3月16日、北海道旭川市生まれ。3歳で水泳を始めて、小6時にはバドミントンの全国大会で団体優勝。旭川東高1年までは競泳と陸上の二刀流。15年世界ユースに出場し日本女子では投てき種目初となる優勝。今春に日大を卒業し、JALに入社。カステラや大福が好きな甘党。身長179センチ。

【とき】8月23日(日)午前11時35分競技開始

【ところ】国立競技場

【種目】▽男子=100メートル、200メートル、400メートル、800メートル、1500メートル、110メートル障害、400メートル障害、走り高跳び、走り幅跳び、棒高跳び、やり投げ▽女子=100メートル、400メートル、800メートル、1500メートル、100メートル障害、400メートル障害、3000メートル障害、走り幅跳び、やり投げ

※無観客での開催。種目が変更になる場合もあります。

【大会HP】http://goldengrandprix-japan.com

【テレビガイド】TBS系列全国ネットで午後3時から生中継。また、TVer、TBS FREEにて午後1時からライブ配信。