学法石川(福島)陸上競技部は、藤宮歩と山口智規の2年生ダブルエースが超高校級を目指す。昨年12月の全国高校駅伝(都大路)は、ともにルーキーで出場し、5位入賞と県勢最高タイム更新に貢献。スピードに特化した指導方針のもと、ライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)する。「フジヤマコンビ」の憧れはOB遠藤日向(22=住友電工)。在学中に国体長距離3連覇など、絶対王者だった偉大な先輩の背中を追う。

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全国的に無名だった。中学時代の山口は陸上部で週2、硬式野球リトルシニアで週4活動する野球メインの「二刀流」。それでも18年の関東陸上大会1500メートルで3位入賞し「陸上と野球どっちをやるか悩み、最終的にレベルの高い集団で陸上を3年間続けたい」と学法石川の門をたたいた。

陸上を本格的にやるのは高校から。「練習量が増えたことに慣れず、前半はずっと故障していたが、夏合宿から都大路までケガなくできた」。人生初の全国大会は昨年末の全国高校駅伝で「周りを気にして思うように走れなかった」。2区(3キロ)で区間8位。今年は「トップランナーとレース中の駆け引きを経験できる1区(10キロ)で勝負し、区間賞を取りたい」。各校エースとの対決を望む。

史上2人目の大記録を打ち立てた。昨年11月には5000メートルで高1歴代2位の13分59秒55をマーク。OB遠藤が持つ同1位の13分58秒93に迫った。山口は「(遠藤)日向先輩と自分しか13分台は出していない。すごいタイムだと思うが、強くなった実感はない」。次は遠藤が高3時(16年)に樹立した13分48秒13の福島県高校記録に挑む。「今年は13分45秒を出したい」と新記録へ自信を示す。

オリンピック出場と指導者の2つの夢がある。「競技人生よりその先の方が長い。自分が経験し学んだことを伝えたい」。まずは高校生最速に照準を合わせ「レースで勝てる選手になる」。猛スピードで成長曲線を描く。

◆山口智規(やまぐち・とものり)2003年(平15)4月13日生まれ、千葉県銚子市出身。小3から野球を習い主に「1番遊撃」でプレー。銚子二中で陸上部に所属し競技を始めた。昨春、学法石川入学。高1で出場した秋の県新人戦で1500メートル、5000メートルで優勝。家族は両親、兄、姉。172センチ、56キロ。