全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)は22日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間(42・195キロ)で行われる。一昨年2位、昨年4位の天満屋は、東京五輪マラソン代表の前田穂南(24)を軸に、今年も優勝争いに加わるチーム力を持つ。昨年のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)優勝者の前田の進化を確認できる大会になる。

前田のクイーンズ駅伝3区(10・9キロ)の成績は、一昨年は区間5位で35分15秒、昨年は区間3位で34分55秒。入社当初はスタミナ型だった前田は、クイーンズ駅伝では単独走を想定した5区(10・0キロ)に起用されてきたが、2年前からはスピードが必要な3区を任されるようになっている。

東京五輪の1年延期を、スピードをさらにみがく好機ととらえ、今季はトラックに積極的に出場してきた。7月のホクレンディスタンス深川大会1万メートルでは31分34秒94と自己記録40秒近く更新した。

クイーンズ駅伝3区でも、昨年のタイムより40秒タイムを縮めれば34分15秒となる。区間記録の34分30秒を上回ることも、今年の前田なら十分可能だろう。

区間記録を1分以上更新すると予想されている新谷仁美(32・積水化学)につくのは難しいが、1万メートルで日本代表経験のある鍋島莉奈(26・日本郵政グループ)や松田瑞生(25・ダイハツ)らとは互角に戦えるだろう。

そのスピードがマラソン練習でも、30キロなどをスピードの強弱をつけて走る変化走のレベルを上げている。その練習が、東京五輪でメダルを狙う前田の大きな武器となるはずだ。

天満屋は前田以外にも前回5区区間賞の三宅紗蘭(21)、昨年の世界陸上ドーハ大会マラソン7位入賞の谷本観月(25)、一昨年の大阪国際女子マラソン2位の小原怜(30)と、粒ぞろいのメンバーだ。

特に三宅は、今年1月の全国都道府県対抗女子駅伝に岡山県で出場し、9区(10・0キロ)で31分56秒の区間3位。大阪府から出場した前田に1秒勝っている。5000メートルでも15分29秒18と自己記録を大きく更新し、武冨監督はクイーンズ駅伝の1区(7・6キロ)に起用したいようだ。だが、ヒザ下部分に痛みが出ていた時期があり、練習が継続できていない懸念材料もある。

三宅の調子が上がらなければ、昨年区間10位だった谷本が1区で、三宅が2区(3・3キロ)か。走順はわからないが、トップから30秒以内でタスキを前田に渡したい。

武冨豊監督は3区の前田に、「新谷さんから1分くらいの差で走ってほしい」と期待する。3区終了時に積水化学と1分~1分半の差なら、後半で追いつくこともできると考えているのだろう。

また、新人の大東優奈(23)がスタミナ型の選手として期待でき、5区に起用できるめどが立ったことが大きい。スピードもある小原を6区(6・795キロ)に残し、20秒くらいの差なら逆転可能な布陣となる。

東京五輪のメダルを目指す前田が3区を快走すれば、天満屋の10年ぶりの優勝も十分ある。