最終10区で衝撃の逆転を演じた駒大(55年連続55度目)が、13年ぶり7度目の総合優勝をつかんだ。

新型コロナウイルス感染拡大下の新様式での開催を象徴するように、胴上げも、メンバーの出迎えも自粛する静かな幕切れとなった。

9区を終えた時点でトップだった創価大との差は3分19秒。現実的には、ひっくり返すのは厳しいとみられる大差だったが、石川拓慎(3年=千葉・拓大紅陵)が諦めない。20・9キロ地点で、失速してきた小野寺勇樹(3年=埼玉栄)をとらえた。

箱根駅伝101年の歴史上、今回で9回目という、あまり例がない最終10区での逆転V。喜びを爆発させたいところだが、選手たちは自制した。アンカー石川はゴールの瞬間、両拳を握って広げ「っしゃー!」と声を上げ、駆け寄ってきた神戸駿介主将(4年=東京・松が谷高)と抱き合った後は、決して大げさには喜ばなかった。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、本来であれば大手町で待つ、他区間の選手も大学の寮のテレビで見守った。皆で喜びを共有できるのは、復路6区で区間賞を獲得した花崎悠紀(3年=富山商)が「優勝したら寮で監督を胴上げしたい」と話していた通りの瞬間になりそうだ。