55年連続55度目の出場を誇る「逆転の駒大」が、13年ぶり7度目の総合優勝をまさに大逆転でつかんだ。

最終10区。トップの創価大と3分19秒差で石川拓真(3年=千葉・拓大紅陵)が、たすきを受ける。小野寺勇樹(3年=埼玉栄)を追い、失速した相手の走りと相まって20・9キロ地点でとらえた。一気のスパートで突き放し、両拳を握って広げながらフィニッシュテープを切った。

勝利への執念を燃やし続け、逆転の直後も、監督車から「お前は男だ!」と石川に叫んだ熱血漢、大八木弘明監督(62)も驚く物語のエンディングだった。ゴール地点、東京・大手町で行われた代表インタビューの第一声が物語る。

「まあ9区が終わった時点で、もう3分も離れてましたんで。ちょっと、あぁ無理かなという思いもありましたけど。石川には、自分のペースで、区間賞狙いで行けばいいんじゃないか、とアドバイスはしていました。ほんと、諦めなければ何か起きるか分からないんだな、と感じましたね」

13年ぶりの優勝には「そうですね。本当にうれしいです。なかなか勝てなかったですからね。往路も、いい流れでやってくれたのが良かったのかなと思います」。シード落ちなども経験した、この間の苦しさを問われると「なかなかね、いいチームをつくるのに苦労した時でしたね」と、しみじみ振り返った。

ドラマチックな復活劇には「今の1、2年生、特に頑張ってくれてたんで。そこに今回、3年生がしっかり役目を果たしてくれた。いつも3年生には厳しく言ってたんですけど、本当に今回は3年生に救われたような感じですね」と感謝した。

6区で区間賞を獲得した花崎悠紀(3年=富山商)から「第2の父親」と慕われた大八木監督。コロナ禍の1年を振り返り「こういう状況ですから、大変な寮生活もありましたんで、その中で選手たちがね、しっかり自分がやることをやってくれたので、この結果に結びついたのかなと思いますね」と最後は教え子たちをたたえ、喜びを分かち合った。