日本陸連は21日、年間表彰式「アスレティックス・アワード」をオンラインで開催した。

男子110メートル障害で昨年日本選手権を2年ぶりに制した金井大旺(25=ミズノ)は、優秀選手賞に初選出された。「優秀選手賞を頂きとてもうれしく思う。2020年は自己記録を3回更新することができて、とても良いシーズンだった」と喜びを語った。

コロナ禍で主要大会が相次ぎ中止となった昨季は、金井にとって成長を遂げたシーズンだった。昨年2月の日本室内選手権では60メートル障害の日本新(7秒61)を樹立した。その後は新型コロナウイルスの感染拡大が広がったが「このシーズンで(現役を)終わる覚悟でやっていた。1日1日モチベーションを切らすことなく全力投球でトレーニングをしてきた」と振り返る。

その言葉通り、110メートル障害の初戦となった8月2日の法大記録会で、従来の自己記録を0秒02更新する13秒34をマーク。同月末の「ナイトゲームズ・イン福井」で日本歴代2位となる13秒27までタイムを縮め、10月の日本選手権では、自身が持つ大会タイ記録(13秒36)で優勝。大会MVPを受賞するなどシーズンを通して安定した実力を発揮していた。

日本選手権後からは今季に向けた冬季練習に入り、現在はウエートトレーニングで体づくりをしながら、踏切からの一連の動作など技術面も見直している段階。「順調にできている」と好感触もつかんでいる。コロウイルスの再拡大で東京五輪実施についても賛否が分かれる情勢については「僕自身もより一層感染対策を徹底してトレーニングを積んでいる。東京五輪に対してもいろいろな意見がある。世間が一致しないと開催が厳しい状況。1人1人が感染対策を徹底することしかできない」と胸の内を明かした。

東京五輪後には家業を継ぎ歯科医師を目指すことを公言しており、母国開催の五輪は陸上人生の集大成と位置付ける。自己記録を出した昨年8月は五輪参加標準記録(13秒32)となる期間の対象外のため、まずは参加標準記録突破を目指していくことになる。金井は「春先の4、5月に標準記録をきって準備をしたい。今、取り組んでいる技術を自分のものにして、(東京五輪の)準決勝で体のピークを持っていって、決勝進出を目指したい」と力を込めた。