東京オリンピック(五輪)代表の前田穂南(24=天満屋)が、自己新記録にも悔しさをにじませた。

従来のベストを18秒上回る2時間23分30秒で2位。13キロ過ぎで一山やペースメーカーから遅れた。優勝で五輪切符を獲得したマラソン・グランドチャンピオンシップ(19年9月、MGC)以来の42・195キロ。2時間20分切りを掲げて臨んだレースを終えて「勝ち負けよりもタイムのことを考えていた。悔しさはあります」と正直に明かした。

万全な調整とはいえなかった。年末年始は左ふくらはぎ付近の痛みに悩まされ、この日は「呼吸よりも足がきつくなった」。武冨豊監督(66)は「(脚は)完璧に治っていたので、全く別の部分。『足の裏が締め付けられた感じがあった』と言っていた」と状況を代弁した。コロナ禍でマラソン前恒例の米国合宿を行えず、百戦錬磨の同監督も「記録を狙うためのペースでいいのか、ちょっと負荷を軽くするか迷い、中途半端になった」と振り返った。

それでも収穫はある。2番手の位置で諦めることなく粘り、過去の自分を超えた。武冨監督は「ここが目標ではなくて、五輪でどう戦うか。足りないところが、しっかりと見えた」。隣の前田も悲観していない。

「五輪に向けて、しっかりと継続して練習に取り組んで、金メダルを目指して頑張りたい」

真価を発揮するのは半年後の夢舞台だ。【松本航】

◆前田穂南(まえだ・ほなみ)1996年(平8)7月17日、兵庫・尼崎市生まれ。園田東中から大阪薫英女学院高を経て15年に天満屋入社。17年北海道マラソン優勝でMGC出場権獲得。18年大阪国際で従来の自己ベスト2時間23分48秒。両親がドラマ「東京ラブストーリー」のファンで、ヒロイン役だった女優鈴木保奈美と同じ読み方の「穂南」と名づけた。家族は両親、弟。166センチ、46キロ。

<大阪国際女子マラソンの上位成績>

(1)一山麻緒(ワコール)2時間21分11秒

(2)前田穂南(天満屋)2時間23分30秒

(3)阿部有香里(しまむら)2時間24分41秒

(4)上杉真穂(スターツ)2時間24分52秒

(5)萩原歩美(豊田自動織機TC)2時間26分15秒

(6)和久夢来(ユニバーサルエンターテインメント)2時間26分42秒

(7)池満綾乃(鹿児島銀行)2時間28分26秒

(8)松田杏奈(京セラ)2時間29分52秒

(9)谷本観月(天満屋)2時間31分7秒

(10)兼重志帆(GRlab関東)2時間31分56秒