18年ジャカルタ・アジア大会男子マラソン金メダリストの井上大仁(28=三菱重工)は新妻の支えも力に好記録での優勝を狙う。

26日、オンラインでの、びわ湖毎日マラソン(28日)の招待選手会見に登壇。昨夏に結婚したことによる変化を聞かれ、「1人でやっているわけではない。チーム、職場の方に加え、一番身近で支えてくれる存在も大きくなっている。競技では本当に一瞬たりとも気が抜けないと、新たに気持ちが引き締まっている」と語った。

食のサポートにも感謝。勉強し、量や中身も細かく考えてくれているという。「手を抜きそうな時も正してくれる。かなり支えになっている。それがプラスになって、今回のマラソン練習もしっかりできた。あとは結果を残すだけ。長崎で待っている妻をはじめ、いろんな人のために頑張りたい」と話した。

守るべき人もできたが、壊すべきものもある。今大会はコロナ禍で海外招待選手はいない。日本人が中心のレースとなるだけに、会見では隣に座っていた2時間6分45秒の自己ベストを持つ高久龍(28=ヤクルト)は「同じくらいの選手が多い分、安定したペースで行くだろう」とレースを読んだ。それを受けて、井上は「ぶち壊していければ」と堂々言った。

世界を強く意識する。「マラソンを盛り上げるためにはアフリカ勢のようなバチバチしたレースを展開しないといけない」と語った。昔から、そんな走りを続けている。昨年3月の東京も30キロ以降に足は重くなったが、それまでは日本新を大きく上回るペースで飛ばした。オーバーペースも構わず、アフリカ勢に付いていった。周りは日本人ばかりでも、世界を見据えて走る。

自己記録は2時間6分54秒。「日本人同士でレベルを引き上げていくという意識を強く持ち、今後、世界と戦うステップとしないといけない。平凡な記録で終わらせるのではなく、みんなが見てて可能性を感じる記録を狙っていかないといけない」。初マラソンだった5年前のびわ湖毎日は2時間12分56秒だった井上は、強い覚悟をにじませた。【上田悠太】