陸上女子1万メートル日本記録保持者で東京オリンピック(五輪)代表の新谷仁美(32=積水化学)が4日夜にツイートした内容がおもしろいと、ちょっと話題だ。

「横田コーチへの質問の多くが『新谷さんをどうやってコントロールしているんですか?』らしい。私のこと猛獣前提でご質問するのはやめてください。わし人間!(笑) #調教師と猛獣の日常」(原文まま)

これには、2000件以上の「いいね」がついて、横田真人コーチ(33)はツイッターの名前を「横田真人@猛獣づかい」に変更している…。2人の関係性だからこそ成り立つコミカルなやりとりだ。というわけで、実際のところを、横田コーチに電話で聞いてみました。

 

私「もしもし。お忙しいところすいません。新谷さんのツイートが社内で話題なんです。実際に、そんな質問は多いんですか?」

横田コーチ「めっちゃ多いです。『どう関わるんですか』『どうコントロールしているんですか』『どうやって操っているんですか』『大変そうだね』とか。他のスポーツ団体の方からも聞かれますね」

私「実際にどういう点を意識して、コントロールされているのですか」

横田コーチ「逆説的なんですけど、コントロールしないようにする。そもそもできないので(笑い)。しない。でも、導くことはしないといけないじゃないですか。だから、(コントロール)していないように見せることじゃないですか。どうしても導きたいところと、そんなに重要じゃないところがあるじゃないですか。どうでもいい部分は彼女に委ねる。例えば、細かい話だと、練習を何時にスタートするかとか。僕らとすれば、彼女に合わせればいいだけなので、どうでもいい話。ちょっとした彼女の要望に応えるようにする。目先のことがコントロールされているか、いないかって大きいじゃないですか。本質的な、大きな部分を、よいと思う方向に導くために、細かい部分、本質的ではないところはできるだけ譲歩して、一切コントロールしないようにしてます」

私 「新谷選手と接する中で、これは絶対NGな事とかはありますか」

横田コーチ「押しつけ。考えの押しつけ。だから聞いてあげるようにしてます。こうしようと思うんだけど、どう思う? と必ず彼女の意見を聞くのが、メニューを決めるにしても何でも大事です」

私「レース前に新谷選手が、弱音を吐き出している時は、どうされているんですか?」

横田コーチ「あれは受け止めるだけです。『大丈夫だよ』とかも言います。ただ、『君ならできるよ』とは言わないです。『お前に何が分かるんだ』って言われたことがあるので。たしかに『そりゃそうだ』と。それから言わないようになりました(笑い)」

次のレースは日本選手権1万メートル(静岡・エコパスタジアム)の予定だそうです。念のために…付け加えておきます。新谷選手はサービス精神旺盛で、本当に優しい方です。報道陣のリクエストに応じ、ハートマークの写真とかも撮らせてくれます。私生活では猫2匹、犬1匹のペットを飼っています。【上田悠太】