クラブチーム「絆ランニング倶楽部」を創設した箱根駅伝で5度の総合優勝を誇る青学大の原晋監督(53)は、初年度から全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)を本気で目指す。

日本実業団連合の大会には昨年から「クラブチーム」も出場可能になっている。5日、原監督は「1年目から目指しますよ。やるからに(ニューイヤー)に出るぐらいじゃないとおもしろくないよね。ニューイヤー優勝と言えば、嘘の目標になるけど、予選会の突破は目指したい」と力を込めた。もちろん本業は青学大陸上部の指導。原監督自身は「絆ランニング倶楽部」の代表として、現場を担う監督は「公募」で集める。今季から母校・青学大のコーチに加わった伊藤雅一氏が運営スタッフを担う。

ニューイヤー駅伝に出場するには、その予選会である東日本実業団対抗駅伝で上位(昨年は12チーム)に入る必要がある。

大勢の選手とスタッフを抱える必要がある陸上の実業団チームは、縮小傾向になる。名門だった日清食品グループなども駅伝から撤退した。そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。原監督は「実業団で走りたくても、戦力外などで走れなくなった人の支えもする。納得するまで走れる場を提供したい。頑張っている市民ランナーも多い。そういう人も支えたい」と話した。将来はクラブの規模を拡大していくビジョンも描く。「ジュニアの子の育成。あとランニングで、OLさんの健康作りをサポートしたりもしていきたい。丸の内OLさんがたくさん走るようになったり、健康美女が増えれば、陸上界も盛り上がる。今は絆が失われているから、様々なカテゴリーを用意し、絆を深めていきたい」と青写真を語った。

今回の取り組みは競技人口拡大などを目的に立ち上げた一般社団法人「アスリートキャリアセンター」の一環。「セカンドキャリアに不安なアスリートは多い」。引退したアスリートのセカンドキャリア支援なども実施していく。

「ライバルは野球界、サッカー界」という信念を持つ。かつてない挑戦で、陸上界の発展を強く願う。原監督は「構想が形になった。いよいよ原軍団の発進ですよ」。大学駅伝界で大きな名声を得ても、まだまだ未来へ向けて、意欲的だった。