陸上の日本室内選手権最終日が18日、大阪城ホールで行われ、男子走り幅跳びで橋岡優輝(22=日大)が室内日本記録を22年ぶりに塗り替える8メートル19で優勝した。他の5回のジャンプはファウルという珍しいパターンでもあった。男子60メートルは多田修平(24=住友電工)が6秒56で2連覇し、予選を6秒70で通過した桐生祥秀(25=日本生命)は左膝裏の違和感で決勝を棄権した。男子走り高跳びは日本記録保持者の戸辺直人(28=JAL)が2メートル24で制した。

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唯一、ちゃんと跳べたジャンプだった。5回目。橋岡の体は宙にふわり舞った。8メートル19の表示を見ると、両手を上げた。指導を受ける森長正樹コーチが持つ従来の室内日本記録を12センチ更新。「森長先生の日本記録を更新するのが第1目標だった。そこはクリアできてよかった」と振り返った。

普通は最初の3回が記録なしなら、4回目以降に進めないが、出場が8人だったため次の試技に進めた。「人生初」という最初から3連続も含め6回中、5回の跳躍がファウル。「やらかした」と苦笑いもした。

踏み切りに苦戦した背景には、室内独特の事情がある。助走可能な距離は短く、少し坂の位置からスタートだった。また競技場のタータンと違い、床の上に敷かれた少したわむ板の上を走る。「助走の出だしから感覚が違った。いつもと違って跳ねる感覚でストライドが伸びていた」と言う。

サッカー東京五輪世代のDFでベルギー1部シントトロイデンに移籍した橋岡大樹(21)をいとこに持ち、4月からは富士通に入社する。自己ベストは日本歴代2位の8メートル32。「まずは8メートル40の日本記録更新を目標に、五輪でメダル獲得を目指したい」と力を込めた。【上田悠太】