駿河台大が8位で本戦初出場を決めた。法大時代に「爆走王」などとして注目された徳本一善監督(42)は就任10年目。喫煙やパチンコ店通いも当たり前だったチームの意識改革を、時間をかけて地道に行った。ほか明大、中大、日体大、山梨学院大、神奈川大、法大、中央学院大、専大、国士舘大の10校が予選を突破した。本戦は前回優勝の駒大などシード10校、オープン参加の関東学生連合を加えた21チームで、来年1月2、3日に行われる。

徳本監督は終盤、「粘り倒せ」とだけ指示を出した。各校上位10人の合計タイムで10校が選出される大会方式を意識した。「8~10番手がどこまで粘り倒せるかを意識してくれて。1秒も無駄にせず、最後の最後まで力を出し切ってくれた」。チーム1位ブヌカは1時間2分15秒、2~7位は1時間3~4分台にまとめた。8~10位は1時間5分台と粘った。

法大時代の徳本監督のトレードマークは茶色や法政カラーのオレンジ色に染めた髪とサングラス。エースとして2年時で本戦1区を走り、区間賞を獲得。文字どおりのド派手な活躍で「ビジュアル系ランナー」「爆走王」として注目された。「弱い選手が強い選手に勝つには、生活で埋めるしかない」。現役時代は自由だった徳本監督が教え子らを本戦に導くため、監督就任から少しずつチームを改革した。

約5年前まで、喫煙やパチンコ店通いする選手、週末は宴会を行う選手などが大勢いたという。「パチンコに週3回行くところを1回にしてくれないかとか、そういうところから始まりました」。近年、監督自身は心理学関連の本を読みあさり、才能と努力を自己研究。選手の意識改革に生かした。「お前ら才能はない、というところからスタートするのが一番いいと。何がダメなのかなど、すべて理論的に説明しました」。

午後10時前には部員全員の携帯電話を回収し、消灯させた。コロナ禍では遊びに出掛けることを禁止した。「それだけ(駅伝に)かけられないならやめてもいいよ、という覚悟を持ってやった。今は精神的な強さを持つ、強い子たちだと思っています」と、昨年15位から躍進した選手の成長に目を細めた。本戦に向けては「特に怖いものはないです」。静かな口調で意気込んだ。【近藤由美子】

◆駿河台大 埼玉県飯能市に本部を置く私大で、駿台予備校などを運営する駿河台学園が87年創立。現在は法、経済経営、メディア情報、心理、スポーツ科学の5学部。テレビ朝日系「相棒」などの人気ドラマや映画の撮影場所として利用されることも。出身者はお笑いタレントのアキラ100%ら。在学者数は5月1日現在、4243人。