女子は学法石川(福島)が、1区から5区までトップを譲らない独走で、みちのく初優勝を飾った。1年生アンカーの田子明花莉が、ゴールを彩った虹に祝福されながら1時間11分44秒でフィニッシュ。男子は全国制覇を狙う仙台育英(宮城)が、3連覇で13度目の頂点に立った。2位でタスキを受けた2年生アンカーの後村光星が、残り1・2キロからラストスパート。2位学法石川に13秒先着し、2時間7分46秒でゴールテープを切った。両チームは12月26日に京都で開催される全国高校駅伝(都大路)に向けて弾みをつけた。

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女子の学法石川はアンカー田子が、栄光のレインボーロードをトップで駆け抜けた。2年連続2位と頂点まであと1歩だったが、三度目の正直と言わんばかりに2位青森山田に1分1秒先着。大雨、強風が時折選手たちを襲う悪条件下のレースを制し、初優勝を決めた。フィニッシュ地点の陸上競技場では幻想的な虹が現れ「祝福されているなと思いました」とかみしめて、ゴールテープを切った。

第4中継所で4区の佐藤美空(みく、1年)から「笑顔で頑張れ」と温かい声をかけられた。その時点で2位青森山田と55秒差。昨年の全国中学生陸上大会で女子800メートル準優勝の佐藤美は、田子にとって「憧れであり、ライバルみたいな存在」だ。そんな同期とのタスキリレーで力強く発進した。目標タイム17分5秒には届かなかったが、5区を17分19分で区間賞。「アンカーという重要区間で緊張していた部分もあったが落ち着いて走れました」。終始安定したパフォーマンスで後続との差も広げた。

先月末の福島県高校駅伝からは出場選手3人が入れ替わった。エース大河原萌花、小島彩乃主将(ともに3年)も不在。それでも1、2年生だけの構成で5区間のうち4人が区間賞、1人が区間2位の好成績を収めた。田子は県駅伝の大枠メンバー10人に入るも、当日の補欠を含む8人からは外れた。「1番は県駅伝を走り、都大路というのが目標だったが、それができなかった。学石はどの大会も勝つという強さを見せつけたかったし、優勝に貢献する走りをしたいと思っていました」と振り返った。

学法石川は昨年の都大路で過去最高の8位入賞を果たし、今年はそれ以上を狙う。「先輩たちは強いですし、チーム内競争も熾烈(しれつ)ですが、(当日走る)5人に入りたいという強い思いがあります」。伸び盛りの1年生が下克上を起こす。【山田愛斗】

<1区平尾が独走Vへの流れ引き寄せた>

女子の学法石川は1区の平尾暁絵(2年)が、最長区間の6キロで独走Vへの流れを引き寄せた。「1区という大事な区間を任せていただいたのですが、想像も予想もしていなかった区間なので、少し戸惑った部分もありました」。謙遜しながらも、仙台一(宮城)、仙台育英、青森山田などとレース序盤から激しい先頭争いを繰り広げた。「焦らずにいこうと思っていて、最初からついていき、余裕があればラストで抜かそうと思っていました」。個人目標は20分20秒。それを8秒上回る20分12秒で区間賞を獲得した。

ラスト1キロで仕掛けた。しかし、仙台一の力丸楓(2年)が食らいついてきて「絶対に負けたくなかったので、もう1回スパートをかけて離しました」。残り200メートルでさらに加速。2位仙台一に4秒差をつけ、トップで2区の鈴木和香奈(2年)にタスキを渡した。先月の県駅伝では補欠で、優勝に直接貢献できなかった。それでも、この日はエース区間でチームを勢いづけた。1カ月半後に迫った都大路は「本当に目指していた舞台なので、走れるならどの区間でも走りたいです」と笑顔で熱い思いを口にした。