国内外のトップアスリートが集結する陸上の「セイコー・ゴールデングランプリ(GGP)東京」(日刊スポーツ新聞社共催)が8日、国立競技場で開催される。連載「国立から世界へ」では注目選手を3回にわたり紹介する。第1回は男子100メートルで昨年の日本選手権を制した多田修平(25=住友電工)。日本人5人目の9秒台、世界選手権(7月、米オレゴン州)出場に向けて息巻いている。

    ◇    ◇    ◇  

多田にとって21年は激動の1年だった。日本一の男として挑んだ東京オリンピック(五輪)の100メートルは予選落ち。第1走を務めた400メートルリレーでは、第2走の山縣亮太(セイコー)にバトンを渡せず失格となった。不本意な結果に終わったが、経験を糧にする。「あのときメダルを取っていたら、満足して終わっていたかもしれない。今は逆に(24年)パリ五輪に向けてのリベンジ、やったるぞ、という燃えている心がある」。2年後に向けて再出発の1年になる。

東京五輪後の冬場は、筋力強化に重点を置いてトレーニングを重ねた。劇的な変化はないが、70キロに満たない体が徐々に大きくなっている実感がある。「感覚としては、1歩1歩の力強さが増している。筋力増えた分キレを出すのが時間かかっているが、そこがいいようにマッチしていけば、9秒台を安定して出していく力があると思う」と自信をのぞかせた。

4月24日の出雲陸上では、10秒27で2位とまずまずの結果を残した。「力任せだった走りが、試合を重ねていくたびにだいぶ軽やかな感じになっている」と手応えを感じている。

17年9月の桐生祥秀(日本生命)を皮切りに、日本勢では4人が9秒台に突入した。10秒01が自己記録の多田も、焦燥に駆られている。「本当に100%しっかり狙う気持ちでやっていきたい。勝負をしていく中で自然と9秒台、日本記録(9秒95)を出すことができれば」。22年も新たな称号を手にする。【佐藤礼征】

◆多田修平(ただ・しゅうへい)1996年(平8)6月24日、東大阪市生まれ。石切中で陸上を始め、大阪桐蔭高時代の自己記録は10秒50。関学大を経て、19年春に住友電工入社。400メートルリレーで17年、19年世界選手権銅メダル、18年アジア大会金メダル。100メートルの自己ベストは21年6月の布施スプリントでの10秒01。趣味はカメラ。好きな食べ物はスイーツ。家族は両親と弟。176センチ、66キロ。

<セイコー・ゴールデングランプリ(GGP)ガイド>

◆日時 8日(日)午後1時10分競技開始

◆会場 国立競技場

◆放送・配信 地上波TBS系列で午後3時から生中継。Paraviで午後1時35分頃から福島千里選手引退セレモニーまでLIVE配信。番組HPでフィールド種目、優勝インタビューをLIVE配信

◆大会HP http://goldengrandprix-japan.com