男子短距離陣が、世界選手権の金メダリストに立ち向かう。セイコー・ゴールデングランプリ(GGP)陸上(8日、日刊スポーツ新聞社共催)前日の7日、会場の国立競技場で会見が行われた。男子100メートルには、日本から東京五輪代表で自己記録9秒98の小池祐貴(26)や多田修平(25=ともに住友電工)らが登場。19年世界選手権王者のクリスチャン・コールマン(米国)ら世界の強豪と戦う。

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世界選手権王者が視線を集める中で、自国での国際大会に向けて気合をみなぎらせた。多田が「タイムより勝負にこだわっていきたい」と話せば、小池は「今季一番を出したい。(世界選手権の参加)標準記録の10秒05をここで出したい」と宣言した。日本勢からは桐生祥秀(日本生命)が欠場。小池、多田、デーデー・ブルーノ(セイコー)ら東京五輪を経験したメンバーに期待が集まる。

新国立競技場での有観客試合は、選手にとって初めての経験になる。「(徐々に)大会でも観客が入るようになって、応援しているよと声をかけられてモチベーションが上がった」と多田。観客の声援を力に変えるつもりだ。

多田は東京五輪で悔しい経験を味わった。2大会連続メダルを目指した400メートルリレーで第1走を務めたものの、第2走の山縣亮太(セイコー)にバトンを渡せずに失格。「予選落ちやバトンミスなど、苦い思い出が強い。ここを起点に良い結果を残して好印象で終えたい」とリベンジへの思いが膨らむ。

海外勢で最注目のコールマンにとっても、ドーピング問題から再出発のレースになる。「今シーズン、インドアで培ってきたものをアウトドア(屋外)で発揮したい」。ドーピング規定違反で東京五輪は不在だったが、今年3月の世界室内選手権では60メートルに出場。東京五輪100メートル王者のヤコブス(イタリア)に1000分の3秒差と僅差の2位で、好調ぶりを印象づけた。初来日で「国立には圧倒された。サーフェース(トラックの表面)も非常に速いので楽しみ」と好記録に意欲を示した。

東京五輪では、出場した日本勢3人全員が予選落ちに終わった。24年パリ五輪に向けて貴重な国際大会の舞台となる。【佐藤礼征】

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