関東学生陸上競技連盟は30日、第100回箱根駅伝(2024年1月2、3日)の予選会に、全国の大学が参加可能になったと発表した。同連盟の最高議決機関である代表委員総会が、23年秋に開催する第100回大会予選会の参加資格を従来の「関東学生陸上競技連盟男子登録者」から「日本学生陸上競技連合男子登録者」に拡大することを決めた。第101回大会以降の開催方法は検討するとしている。予選会で敗退した大学の選手で構成し、本大会にオープン参加する関東学生連合は編成されないことになった。

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箱根駅伝が記念大会を機に、大きな転換期を迎える。これまで関東の大学だけが参加資格を持っていたが、24年1月2、3日の第100回記念大会では、条件さえ満たせば、全国の大学から参戦可能となることが決定した。学生スポーツきっての注目度を持ちながら、事実上の「関東大会」という在り方は長年、疑問視されてきた。枠組みを取り払い、名実ともに「日本一決定戦」となる。

関東学連はこの日、代表委員総会にて第100回大会予選会の開催方式を決定した。従来通り各校12人が出走するハーフマラソンで、上位10人の合計タイムで出場権を争う形式。その参加資格を「日本学生陸上競技連合男子登録者で、本大会並びに箱根駅伝本大会の出場回数が4回未満である者に限る」と関東以外の大学にも広げた。101回大会以降については「今後も検討を重ねて参ります」と未定だが、全国化へのきっかけとなる可能性がある。

大学長距離の有望選手は、実業団に進む一部の選手を除いて、箱根駅伝に挑戦できる関東の大学に集中していた。毎年25%超の視聴率を誇り、宣伝効果は抜群といえる正月の風物詩。全国の大学が強化に動けば、関西などの地元の大学から箱根路を目指せる。選手にとって選択肢が増える。各地方へ戦力が分散され、競技人口の増加など裾野が広がることが期待される。

一方で現状では、関東と関東以外の大学では戦力差は大きい。昨年の全日本大学駅伝では、15位までを関東勢が占めた。同大会で関東以外の大学が優勝したのは、86年の京産大までさかのぼる。門戸を広げることで大学長距離界の勢力図が変わっていくか、注目が集まる。

この日の総会では、予選会で敗退した大学で構成される関東学生連合チームが、第100回大会では編成されないことも決まった。17年には4区と5区の区間距離が変更するなど、時代とともに形を変えてきた。マラソンの父、金栗四三らが世界に通用する選手を育てるために創設した箱根駅伝。100回大会の全国化は、長い歴史の中でも、大きなターニングポイントとなりそうだ。

◆箱根駅伝予選会 例年10月に開催。東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地スタート。立川市街地を走り、国営昭和記念公園ゴールのハーフマラソン(21・0975キロ)。各校14人までのエントリー選手のうち、10~12人が出場する。チーム上位10人の所要合計タイムの少ない10校が本戦出場権を獲得できる。今年までの出場資格は関東学生陸上競技連盟の男子登録者で、予選会ならびに大会の出場回数が通算4回未満。エントリー選手全員が1万メートルで34分0秒以内となるトラックでの公認記録を持っていることが条件。