阪神、ロッテで活躍した鳥谷敬氏(41=日刊スポーツ評論家)がアスリートに迫る「鳥谷敬VSパリ五輪の星」。第4回は陸上女子短距離界のエース格、児玉芽生(23=ミズノ)との白熱マインド対談だ。7月のオレゴン陸上世界選手権では、400メートルリレーで11年ぶりの日本記録を更新しながら予選敗退。「世界との差」を埋めるため、心身両面で必要なピースとは-。【取材・構成=佐井陽介】

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児玉はつい2年ほど前まで「ミスタードーナツ」で接客を担当していたそうだ。すでに女子陸上界のトップアスリートだったにもかかわらず、なぜ練習とバイトの両立を続けたのか。素朴な疑問をぶつけると、照れながらストイックな理由を明かしてくれた。

「私、どうしても競技場を離れてからも考え込んでしまう癖があるんです。だから陸上のことを忘れられる時間、陸上とは関係ない人と関わる時間が大切だったんです」

大学時代は他にもさまざまなバイトを経験したが、「長かったのはミスドですね。楽しかったです」。笑顔を絶やさない、飾らない性格。当時のバイト仲間とは今も絆が深そうだ。

◆陸上女子400メートルリレー 日本は7月の陸上世界選手権に5大会ぶり出場。児玉は3走を任され43秒39の日本新記録も、1組7着に予選敗退した。2大会ぶり出場となった昨夏の東京五輪は43秒44で1組7着の予選敗退。児玉は2走を務めた。

◆児玉芽生(こだま・めい)1999年(平11)6月8日、大分県臼杵市生まれ。姉の影響で小学1年から陸上クラブへ。大分雄城台高校3年でインターハイ、国体で100メートル優勝。福岡大3年時の日本インカレ100メートルで日本歴代3位(現役1位)の11秒35を記録した。21年は日本選手権100メートル、200メートルで2冠。22年は日本選手権200メートルで優勝。21年東京五輪、22年陸上世界選手権で女子400メートルリレー日本代表。今春ミズノ入社。160センチ。