阪神、ロッテで活躍した鳥谷敬氏(41=日刊スポーツ評論家)がアスリートに迫る「鳥谷敬VSパリ五輪の星」。第4回は陸上女子短距離界のエース格、児玉芽生(23=ミズノ)との白熱マインド対談だ。7月のオレゴン陸上世界選手権では、400メートルリレーで11年ぶりの日本記録を更新しながら予選敗退。「世界との差」を埋めるため、心身両面で必要なピースとは-。【取材・構成=佐井陽介】

    ◇    ◇    ◇

メンタルコントロールの話題で盛り上がった対談終盤、鳥谷氏は突然「タイガー・ウッズの話を思い出した」と切り出した。

「ウッズって、ゴルフでプレーオフになった時、相手選手のパットに『入れろ入れろ』と思うようにするらしいよ。『外せ』と思ってもし入れられたら、自分の番になった時にマイナスな感情が芽生えてしまうから」

続けて児玉に伝えた経験談がまた興味深かった。

「昔、9回2死三塁とかサヨナラ負けしそうな場面で『打球が飛んでくるな』と思ってしまっていた。でも、重圧のない場面でもわざと『飛んでくるな』と思うようにしたら、いざそういう場面が来た時も普段通りプレーできるようになった」

マイナスな感情の排除に、常日頃からどれだけ苦心しているのか。

アスリートたちの隠れた日常に触れ、またスポーツを見る感覚に変化が生まれそうだ。【遊軍=佐井陽介】

◆児玉芽生(こだま・めい)1999年(平11)6月8日、大分県臼杵市生まれ。姉の影響で小学1年から陸上クラブへ。大分雄城台高校3年でインターハイ、国体で100メートル優勝。福岡大3年時の日本インカレ100メートルで日本歴代3位(現役1位)の11秒35を記録した。21年は日本選手権100メートル、200メートルで2冠。22年は日本選手権200メートルで優勝。21年東京五輪、22年陸上世界選手権で女子400メートルリレー日本代表。今春ミズノ入社。160センチ。