23年1月2、3日の箱根駅伝で初優勝を目指す国学院大の青木瑠郁(1年)が、“飛躍の1区”を熱望した。

11月の全日本大学駅伝で5区区間賞を獲得した注目ルーキーは、あの女子長距離界の“超新星”不破聖衣来(拓大2年)の高崎健康福祉大高崎高時代の1年後輩。16日、渋谷キャンパスで行われた壮行会後の取材に「同じくらい活躍したい」と偉大な先輩の快走を刺激に、初の箱根路に挑む。

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希望は「1区」。目標は「2位に10秒差以上をつけての区間賞」。青木は表情を変えず、淡々と答えた。「自分は引っ張るレースが好きで、スピードに自信がある。飛び出すのは勇気がいるけど、それで勝ち切れば力の証明になる」。入学して8カ月の1年生とは思えない自信が、言葉ににじんでいた。

心強い“前例”がいる。昨季、全日本大学女子駅伝で5区区間新をマークし、1万メートルでも日本歴代2位の日本学生新記録を樹立した不破の存在だ。高崎健康福祉大高崎高で一緒に練習していた1学年上の先輩。無名の女子高生ランナーが、大学1年で大化けした姿を、青木は自分と重ねた。「自分も大学で練習量が増えたら活躍できると刺激を受けた。同じくらい活躍したい」。

その先輩から学んだのが、ストイックに競技に打ち込む姿勢。20年秋、コロナで中止になった高校総体の代替で開催された全国高校陸上で3000メートル6位入賞を果たした不破が、悔しそうな顔で戻ってきた。「自分だったら喜んでいたと思う。見習わなければと思った」という。

高校時代は指導者の方針で、1カ月の走行距離は300キロ程度だった。それが大学入学後は月600キロ、夏合宿では1000キロ以上を走り込む猛練習で急成長した。11月の全日本大学駅伝では区間新に3秒差に迫る5区区間賞。“姉貴分”と同じように眠っていた才能が1年で開花した。レース後「お疲れさま」と不破からラインが届いた。

高校の3年間はコロナ禍と重なった。「一番悔しかったのが、高3の都道府県対抗駅伝で高校生最長区間を走る予定だったのに中止になったこと」。そのつうらい経験を今はプラスに考えている。「大会で走れることは本当にありがたい。人に支えられて自分は走れている。感謝の気持ちを学べたと思う」。高校の3年分の思いも胸に秘め、青木は箱根路のスタートラインに立つ。【首藤正徳】

◆青木瑠郁(あおき・るい)2004年(平16)3月31日、群馬県生まれ。群馬・高崎健康福祉大高崎高から国学院大人間開発学部に進学し、健康体育学科で学ぶ。1年時から頭角を現し、大学駅伝デビュー戦となった出雲駅伝では1区で区間7位、続く全日本大学駅伝では5区の区間賞を獲得。5000メートル自己ベストは13分48秒61。座右の銘は「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」「常に今が全盛期」。身長168センチ、体重53キロ