3年ぶりに沿道での応援が復活した箱根駅伝に3日、全身白ずくめの「フリーザ軍団」が帰ってきた。復路7区の二宮町(神奈川)の押切坂に、人気漫画「ドラゴンボール」に登場する悪役キャラクター「フリーザ」に扮(ふん)した、名物応援コスプレイヤーたちが、走者全員にわけへだてなく無言の声援を送った。

白タイツ姿の軍団が押切坂に登場すると、他の応援客からは写真撮影の依頼が殺到。しっかりとポーズを取り続けた。応援では飛まつ感染防止のため、言葉を発することなくマスクを着用した。沿道では跳んだりはねたりを繰り返し、さらに名曲「Choo Choo TRAIN(チューチュートレイン)」のダンスを披露するなどし、沿道や小田原方面に走る車などからは「キャー、フリーザさまぁ~」「待ってたよ~」「おかえりー」など声援を浴びた。

軍団は「われわれが現れてしまうと、人が集まってしまう。この2年間は宇宙空間から声を出さずにランナー全員を応援していました」。軍団のリーダー(名前などは非公表)によると、二宮町にフリーザ族を代表して5人が「40万年前に赴任してきた」と顔色を変えずに話した。

2006年にリーダーがマイケル・ジャクソンの仮装をして沿道応援したのがきっかけ。あまり目立たなかったので蛍光色のタイツにチェンジ。押切坂は日陰になり暗くなるため、白いタイツなら目立つと思いついた。「白いタイツからの連想ゲームで、そうだ、フリーザだ、という結論に。08年から単独でフリーザをやっていたら、いつの間にか増殖して11年には5人の軍団になりました」とリーダーは、軍団結成までの経緯を解説した。

走者21人を見送った軍団は「走者に元気を送ることが目的。そして、少しでも二宮町のことを全国のみなさんに知ってもらいたい」と語り、リーダーは「箱根駅伝が続くかぎり、われわれはこの押切坂に戻ってくる。では、宇宙空間に」と、充実感を漂わせながら言い切った。【寺沢卓】