ニューカラーの駒澤大(駒大)が、史上初となる2年連続の3大駅伝「3冠」へ燃えている。

同大の陸上競技部は1日、東京・世田谷区の道環寮で、10月から本格化する駅伝シーズンへ向けた取材会を開催。鈴木芽吹主将(4年)は「昨年よりもみんなでチームを強くしていく意識があります」と結束力に自信をみせた。

前年度の駒大はエースの田澤廉(現トヨタ自動車)や主将の山野力(現九電工)らを擁し、10月の出雲、11月の全日本、1月の箱根を制覇。同校史上初の3冠を達成し、同年限りで退任した大八木弘明監督(現総監督)に華を添えた。

今季も勢いは健在。篠原倖太朗(3年)が3月の学生ハーフマラソンを制すと、新チームに火が付いた。4月のかすみがうらマラソン男子10マイルの部を赤津勇進(4年)が優勝し、同月の日本学生個人選手権男子5000メートルでも安原太陽(4年)が1位となった。5月の関東インカレでは、2部の男子1万メートル決勝で唐澤拓海(4年)が日本人トップとなる4位に入り、ハーフマラソンでも赤星雄斗(4年)が1位、山川拓馬(2年)が2位とワンツーフィニッシュを飾った。

上級生の活躍が際立った前半シーズン。4月から指揮を執る藤田敦史監督も「速いだけの選手ではなく、勝負に勝てる選手の育成を念頭に置いている中、春からのトラックシーズンでは思うような実績を出してくれました」とうなずいた。

8月からは長野の志賀高原などで合宿を敢行。駅伝シーズンへの土台固めが続く今、鈴木は前年度との比較に「エース」という言葉を当てはめる。

「去年は田澤さんという大エースがいました。田澤さんがいることで、チームに安心感がもたらされていたのもありますし、逆に田澤さん頼りになっていたところもあります。そこで今年は、自分や篠原や(佐藤)圭汰がエースになるつもりでやっています」

大黒柱への依存を脱却し、1人1人がエースの自覚を抱くこと。そこに新たな強さを見いだそうとしている。

篠原も主将の思いに同調するように、判然と言い切る。

「チームのエースとして練習を引っ張ったり、3大駅伝で全部区間賞を取ったりできるような、その土台を(9月からの合宿では)作れたらと思います」

自覚の先に見据えるのは、2年連続3冠の大目標。「『原点と縁』~史上最高への挑戦~」のスローガンのもと、史上初の快挙を狙うよりも、前年度のチームを超える意識で挑んでいく。

鈴木は静かに闘志を燃やす。

「3冠をとりたいので、そのために自分は(3大駅伝で)3つ全部で区間賞をとって、優勝に貢献したいと思います」

初陣は10月9日の出雲駅伝。全員がエース級の走りを体現できた時、史上初の景色の輪郭が色濃さを増していく。【藤塚大輔】