またも男子ハードル界で世界レベルの記録が生まれた。22年世界選手権代表の村竹ラシッド(21=順大)が、日本タイ記録となる13秒04(向かい風0・9メートル)で2大会連続3度目の優勝を飾った。これは今夏の世界選手権銀メダル相当。同大会5位入賞の泉谷駿介が6月に打ち立てた記録に並んだ。すでに来夏のパリ・オリンピック(五輪)の参加標準記録は突破済みで、来年6月の日本選手権の成績次第で代表が内定する見通し。初の五輪切符獲得へ突き進む。
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学生日本一を決める大会で、ただ1人別次元の走りを見せた。勢いよく飛び出した村竹は、早くも2台目のハードル手前で先頭へ。「これはいった」。手応え十分で駆けると、会場はこの日一番のどよめきに包まれた。学生最後のシーズンで日本タイ記録をマーク。「やっとここまで来れた」。これまでの日々を思い返し、目を細めた。
トーゴ出身の父を持つ21歳は紆余(うよ)曲折を経てきた。東京五輪の参加標準記録を満たして迎えた21年の日本選手権決勝では、フライングで失格。昨夏は世界選手権代表入りも、日本勢最下位で予選敗退となった。今季は3月に13秒25の自己ベスト(当時)を出すも、4月末に左足の肉離れに見舞われた。
「思うようにいかなかった」と悔しさが募る中、体づくりから見直した。昨季は80キロの負荷だったクリーンでの筋力トレーニングは、100キロまでアップ。「動きは本当に正しいのか」と、ハードル間の足の刻みも素早くした。山崎一彦コーチも「今年は棒に振ることを覚悟した中、よく我慢していた」とうなずく。
ようやく実を結んだのが今月2日のダイヤモンドリーグ。世界最高峰の舞台で13秒19の5位と健闘した。「思ったよりも戦えた」と自信を深め、順大の2学年先輩にあたる泉谷の記録に肩を並べるまでになった。
パリ五輪が近づく今、目指すは五輪で同種目日本勢初となるメダル獲得。「(泉谷に)追いつくだけでなく、追い越すことに考えはシフトしている」。12秒台も「見えてきた」とほほえむ男の視線は、世界のトップへと向いている。【藤塚大輔】
◆村竹ラシッド(むらたけ・らしっど)2002年(平14)2月6日、千葉県松戸市生まれ。跳躍競技の経験があるトーゴ人の父を持ち、相模台小5年で陸上を始める。松戸一中1年時からハードル種目に専念。松戸国際高3年時に全国総体男子110メートル障害優勝。20年4月に順大入学。身長179センチ。

