東農大のスーパールーキー前田和摩(1年)が、U20(20歳以下)歴代2位となる1時間1分42秒をマークし、日本人トップの9位でゴールした。チームを11位通過に導き、10年ぶりの箱根出場に貢献。「通過できてうれしい限り」と自身の力走を手放しにして喜んだ。

強気を貫いた。「残り5キロだったら持つ。気持ちで押し切れる」。中盤までは余力を残し、15キロ過ぎで集団走から前へ。留学生選手を追い抜いていくと、最後の直線では中央学院大のエース吉田礼志(3年)の背中をかわした。「学年に関係なく勝負していく」と力強かった。

中学まではサッカー少年だったが、中学時代に陸上部の顧問の誘いで駅伝に触れた。走る喜びに目覚めた。「タスキをつなぐことが楽しい。つらいと思うこともあったが、次の走者に少しでも早くタスキをつなぐのが気持ちいい」。初出走となる箱根路でも「押して、押して、挑戦していく」と物おじせず、チームを勢いづける。驚異の走りが目を引くが「まだ搾り出すような練習はしていない」とサラリ。底見えぬ逸材が、全国区でも力を見せつける。【藤塚大輔】

◆前田和摩(まえだ・かずま)2005年(平17)1月16日、兵庫県生まれ。兵庫・報徳学園高で本格的に陸上競技を開始。22年全国高校総体男子5000メートルで日本人トップの4位。23年1月の全国都道府県対抗駅伝は5区2位。1万メートルの自己記録はU20歴代2位の28分3秒51。

◆東農大 1891年創立、1925年に大学設置。日本で初めて設立された私立の農学校。キャンパスは東京・世田谷区、神奈川・厚木市、北海道・網走市の3カ所。応援の「大根踊り」で有名。主な卒業生は俳優の工藤阿須加ら。