男子は小山直城(ホンダ)が2時間8分57秒で優勝、赤崎暁(九電工)が2時間9分6秒で2位になり、ともに五輪初出場を決めた。

  ◇  ◇  ◇

パリへの2枚目の切符を手にしたのは、自己ベスト2時間9分台の無印男、赤崎だった。ベスト記録で3分半以上も上回る大本命の大迫を5秒差で振り切っての2着。「8位以内に入ればと思っていたけど予想以上に走れた」。意外な結末に本人も驚いた。

作戦は“大迫マーク”。「絶対に上位にくる選手。マークしよう」。背後につけた。38キロ付近で小山と大迫の加速に1度は引き離された。「限界が近くて正直無理だと思った」。ところが大迫の背中が再び大きく見え始めた。「彼もきついんだ」と初めて前に出た。この判断が明暗を分けた。

大一番に備えて3カ月間の走り込みの総距離を300~400キロも増やした。特に力を入れたのが苦手の坂道走。3~4キロの急坂を上って鍛えた。終盤の上り坂での粘り腰には、準備と練習量というしっかりとした土台があった。

熊本・大津中1年の町内マラソンで、バレー部員ながら陸上部員全員に勝利。箱根駅伝に4年連続出場した拓大時代は監督に「オレが見てきた日本人で一番強い」と太鼓判を押されたほどの素質。「このまま五輪に出たらコテンパンにやられる。今までと違う練習をやっていきたい」。マラソンのメジャー大会出場は3回目。伸びしろはたっぷりと残っている。【首藤正徳】

◆赤崎暁(あかさき・あきら)1998年(平10)1月21日、熊本県生まれ。開新高で陸上部に入り、拓大時代は4年連続箱根駅伝出場。卒業後、九電工入社。初マラソンは22年2月の別府大分で2時間9分17秒で7位。自己ベストは22年12月の福岡国際での2時間9分1秒(8位)。170センチ、49キロ。