11年世界選手権銀メダル小塚崇彦氏(28)が、複数の4回転ジャンプを得意とする羽生結弦、宇野昌磨、ネーサン・チェン(米国)金博洋(中国)の4人それぞれジャンプの特徴を語った。ジャンプは基礎点に加えて、出来栄え(GOE)によるプラスも重要になっている。

 小塚氏 昔から「流れがあるジャンプがきれいだ」といわれてきた。羽生選手のジャンプは回転軸が細くてキレがある。「きりきり」と回るイメージ。ジャンプの入りから着氷まで流れがある。きれいな放物線を描いているが、どちらかといえば横幅(飛距離)がある。流れがあるからプラスがつきやすい。

 宇野はフリップ、ループ、トーループに加え、16日のロンバルディア杯で初めてサルコーを成功させた。

 小塚氏 宇野選手は安定感があってミスが少ないイメージ。回っている時に「ブン」という力強さがある。ジャンプとしてはパワータイプじゃないかと思う。

 チェンは史上初の5種類に成功。金博洋は現時点で最高難度の4回転ルッツを含む4種類を試合で使う。

 小塚氏 チェン選手と金博洋選手は結構似ている。ともに縦に高くジャンプするイメージが強い。ジャンプの出来栄え点で考えると(横への)幅で跳んでいる人ほど点は出にくいが、現在は高難度のジャンプを成功させると点数が出やすいという部分はある。

 金博洋は回転中にあごが上がっている。トップ選手の中では珍しいタイプだ。

 小塚氏 僕も昔はあごが上がっていた。小さいころは体に比べて頭が重くて、あごが上がる子が多い。その時の癖じゃないか。ジャンプは人それぞれで、金博洋選手はあの形で回転軸が取れているので、個性の範囲だと思う。

 国際スケート連盟(ISU)は平昌五輪後にルール改正を検討。4回転で技術点が高騰しており、演技構成点とのバランスを取る流れといわれる。ルール改正次第で4回転ジャンプの価値が下がる可能性がある。

 小塚氏 ルールによるが、今までの流れが一気に変わることはないのでは。かつて右足のシットスピンのルールが変わって(ブレードの)アウトからインサイドに倒すと点数が高くなった。「下手な人がインサイドで回る」と教えられていたので皆やらなかった。点が高くなると分かっていても、やらない。そんな期間があった。ださいから。ルール改正があるとはいえ、採点方式が変わるわけではないので、そこまで大きな変化はないと思います。【取材・構成=益田一弘】

4回転時代をけん引する4選手比較表
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