16年に函館市などが北海道での競輪選手育成を目的に立ち上げた「ホワイトガールズプロジェクト」(WGP)に今春、初めて女子高校生が加わった。昨年の高校総体自転車500メートルタイムトライアル6位の神戸暖稀羽(ののは、函館大谷2年)、他競技から挑戦する畠山ひすい(函館遺愛女3年)の2人。ともに競輪選手を夢見て故郷から函館市に移り住み、日本競輪選手養成所合格を目指す。

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畠山は他競技から競輪の世界に飛び込んだ。「普通の自転車とは違ってブレーキがないので、止まり方とか基本的なことから教えてもらいました。まだ慣れないけど、楽しい」。函館遺愛女ではバスケットボール部に所属。3年間の集大成だった総体は中止になったが、新たな目標に向けて必死にペダルを踏んでいる。

埼玉・川口市出身で山村留学制度を使って中学のときに鹿追町に移り住んだ。運動神経抜群でサッカーでは「中学でトレセン、高校でも函館でベスト11に選ばれた」。それでも幼少期に大宮競輪場に行き「人間とは思えないようなスピードで走っていた」というレーサーの雄姿が消えることはなかった。

4月に5期生としてWGPへの参加が決定。コロナ禍で函館競輪が中止となっていた期間には午前、午後の3時間ずつ計6時間に及ぶ練習をこなした。バイクの後ろを走るメニューでは「風の抵抗がない分スピードが出せるけど、まだ怖さもある」。練習を重ねることで、恐怖心を振り払う。

今秋に予定される養成所試験の突破を目指して短期間で実力を磨いていく。「早く学校に合格して、プロになって活躍したい」。日本の国石・翡翠(ひすい)を名に持つ18歳のまなざしは、光り輝く未来を見つめている。【浅水友輝】

◆ホワイトガールズプロジェクト ガールズケイリン選手の発掘、育成を目的として、函館市、日本トーター、日本競輪選手会北海道支部が実施している共同プロジェクト。16年4月に開始して、これまで1期生3人、2期生1人、3期生1人、4期生2人が在籍。7人中5人が日本競輪選手養成所(18年までは日本競輪学校)候補生試験に合格し、1、2期生の計3人がプロデビュー(1人は引退)。