【ケロウナ(カナダ)=藤塚大輔】18歳の中田璃士(りお、西武グループ)がGPデビュー戦に臨み、92・64点で首位に立った。4回転2種を含む全3本のジャンプを決め、コロナ禍で変則開催だった20年NHK杯を制した鍵山優真以来、日本男子2人目のGP初出場優勝へ好発進。ただ、スピンで転倒して得点が無効になるミスがあり「1位でも全然うれしくない」と表情はさえなかった。
フィニッシュポーズを解くと、右手を額に当てて天を仰いだ。「自分でも全く分からない」。悔やんだのは、4回転を2本連続で決めた直後だった。空中に跳び上がってから、着氷と同時に右足で深くしゃがみながら体を回すスピン。体勢を崩し、両手をついた。シニアの国際大会初戦だった9月の木下グループ杯では3・84点を稼いだが、転倒によって0点となった。
「絶対に失敗しないのに」と戸惑ったが、引きずらなかった。続くトリプルアクセル(3回転半)の軌道へ入る時、リンクサイドで見守る父誠人コーチと目が合った。ほほ笑む父を見ると、心も落ち着いた。「やっちゃったと思ったけど、パパも笑っていた。アクセルは失敗する気がしなかった」。自信を持って決め、以降も全ての技をそろえた。動揺を持ち越さず、2位に2・38点差をつけた。
昨季は世界ジュニア選手権で日本男子初の連覇。年齢制限で2月のミラノ・コルティナ五輪は出場できなかったが、ジュニア期間で心もたくましくなった。「自分のやるべきことをやって、負けたら仕方がない。本当に自分との勝負」。フリーへも一喜一憂せず、己に矢印を向け続ける。


