昨年、史上最年少の17歳で初優勝した畑岡奈紗(18=森ビル)が大会連覇を成し遂げた。通算13アンダーの首位から出て8バーディー、1ボギーの65で回り、通算20アンダーの268。2位に8打差をつける独走Vで76、77年の樋口久子以来、40年ぶり史上2人目の連覇。宮里藍を上回る史上最年少の18歳261日でツアー通算3勝目に到達した。3年シードも獲得した畑岡は20年東京五輪の金メダル獲得を目標に掲げた。

 最後までぶれなかった。畑岡が攻め抜いた。後半17番に目標スコアの20アンダーを達成したものの、最終18番もバーディーを狙った。約3・5メートルのパットが数十センチ左にそれると悔しそうに苦笑い。確実にパーパットを沈め、両手を上げてギャラリーの拍手に応えた。区切りの50回大会で、40年ぶり史上2人目の大会連覇の快挙。「自分が達成できるとは思っていなかったです。光栄に思います」と照れながら素直に喜んだ。

 グリーンのピン位置が難しい国内メジャーで、バンカーに入れた3ホールはすべてパーセーブでしのいだ。後半11番では、約10メートルのロングパットも沈めて通算17アンダーに伸ばし「これで良い流れがきた」と優勝を確信した。畑岡が8打差まで引き離した2位は元世界ランク1位で元米ツアー賞金女王の申ジエ。メジャー2勝の田仁智、7月の全米オープン2位のチェ・ヘジン(いずれも韓国)らも参戦した国内メジャーで数多くの記録も更新。強豪たちを圧倒するスコアは「異次元」と言って良かった。

 最終日に次々と上位陣が崩れる中、畑岡の安定感は抜群だった。東京五輪を見据え、日本ゴルフ協会の実験的な取り組みとなるナショナルチームの新人プロサポート選手に指名。同チームの栖原フィジカルトレーナーの指導を受ける。下半身強化のスクワットで担ぐバーベルの重さは、この1年間で40キロから最大60キロに増加。この体幹の強さがプレーの安定につながる。疲労の残る第2日、第3日の終了後もフィジカルメニューを消化。同トレーナーは「長期的な意味の練習でもあります。2020年を見据え、彼女も自主的にやっています」と明かした。

 これで国内ツアーの3年シードも獲得した。「今は9割ぐらい」と来季の米ツアー継続参戦の意向を示した。畑岡は「米ツアーで活躍する人は私と同じ世代。五輪のことを考えても競い合える選手になりたい」。3年後はホームで戦える東京五輪だ。「金メダルを取りたいです」とあらためて宣言した。宮里藍が引退した翌週から2週連続優勝し「これからは私たちの世代が日本を引っ張っていく」。日本女子ゴルフ界の未来を担う自覚に、ぶれはない。【藤中栄二】

 ◆畑岡奈紗(はたおか・なさ)1999年(平11)1月13日、茨城・笠間市生まれ。11歳から競技開始。15年に世界ジュニア、関東高校選手権、国体優勝。名前は父仁一さんが「世界に羽ばたく子に」という思いで米航空宇宙局NASAから命名。目標は中嶋常幸と宮里藍。158センチ、62キロ。

<18歳畑岡奈紗の記録アラカルト>

 ▼最年少国内メジャー2勝 18歳261日で達成。田仁智の21歳55日を抜いた。

 ▼国内メジャー最少ストローク更新 268ストロークは、98年明治乳業カップの李英美、07年日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯の飯島茜がマークした274(通算14アンダー)を更新。

 ▼最年少ツアー3勝目 04年サントリー・レディースで宮里藍が記録した18歳360日を更新。

 ▼日本人初の大会連覇、2週連続Vの同時達成 13年にニトリ・レディースを連覇したアン・ソンジュが前週のCATレディースに続く2週連続Vを飾って以来2人目、日本人では初。

 ▼大会最年少連覇 樋口久子の最初の連覇(68、69年)時の24歳31日を更新。大会連覇は76、77年の樋口以来40年ぶり2人目。