2020年の男女ゴルフツアーが新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開幕戦からストップしている。ここまで中止、延期となった各大会の名場面を振り返ります。

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▽2013年(平25)大会(4月4~7日、静岡・葛城GC山名C)

比嘉真美子(26=TOYO TIRE)が、ルーキーイヤーにツアー初勝利を挙げた。大江香織、テレサ・ルーと3人でのプレーオフを制しての劇的な優勝。19歳178日で当時史上6番目の若さで、4日間大会では最年少という新たなヒロイン誕生を予感させる1勝だった。

比嘉は5打差の12位からスタートし3バーディー、1ボギーの70、通算4アンダーの284でホールアウト。首位に並んだ大江、テレサとの、プレーオフで2ホール目。残り220ヤードを5番ウッドで果敢に2オンを狙った。グリーン横のバンカーに入れたが、第3打をうまくピンそばに寄せ、1・5メートルのウイニングパットを決めた比嘉は、右の拳を握りしめてガッツポーズ。グリーン脇で見守った母彰子さん(当時56)と姉久美子さん(当時25)と喜びを分かち合い、亡き父宏さんと兄良樹さんに勝利をささげた。

小学校1年で兄(当時15歳)を、高校2年の一昨年6月にゴルフを教えてくれた父(同60歳)を病気で亡くした。「5人家族が3人になって、つらいことがありすぎた。母も姉も苦しい思いをして支えてくれた。次は私が支える番。この優勝は家族全員で勝ち取ったもの」と笑顔を見せた。

ジュニア時代から活躍し、11昨年、12年と日本女子アマを連覇した。12年7月のプロテストに合格して、今季から最終予選会10位の資格でレギュラー参戦。開幕1、2戦は予選落ちしたが、前々週は47位、前週は24位と結果を出し始めた。難コースに吹く最大瞬間風速21・3メートルという強風で上位陣が崩れる中、スコアを伸ばした。

「風や雨は自然なものなので、いやだと思わず集中してプレーできた。4日間大会は実力がはっきりと出る。この大会に的を絞っていた。まだ未熟な部分はあるけど、今後に生きていく」

その言葉通り、同年6月のリゾートトラスト・レディースでツアー2勝目。賞金ランキング8位でこの年のシード権を取り、新人賞も獲得した。アマチュア時代から評判通り、大器がその実力の片りんを見せ、この大会での勝利をきっかけに、大きく飛躍していった。

■過去の優勝者

15年 渡辺彩香 -7

16年 李知姫 -9

17年 イ・ミニョン -9

18年 アン・ソンジュ -5

19年 成田美寿々 -5