19歳の笹生(さそう)優花(ICTSI)が、圧巻のプレーで国内ツアー2戦目で初優勝を飾った。3位から1イーグル、7バーディーと伸ばし、大会タイ記録63をマーク。通算16アンダー、200で悲願の優勝をつかんだ。19歳57日でのツアー初優勝は、史上7番目の若さ。21世紀生まれで初の優勝となった。

2位に2打差をつけて迎えた終盤16番パー5。得意のドライバーで283ヤードを飛ばすと、5番アイアンで楽々2オン。ピン手前2メートル半のイーグルパットを決め、早々と優勝を決定付けた。15番までボギーなしの7アンダー。21世紀生まれ、新世紀世代の新星が、ツアー2戦目で優勝した。

「すごくうれしいです。16番は、17番パー3が難しかったので、イーグルが欲しかった。17番でボギって(=ボギーを打っても)も、18番大丈夫かなと思ったので(早々と)ガッツポーズが出た」と笑顔。01年生まれでは優勝一番乗り。最終日の63は、大会タイ記録。19歳57日でのツアー初勝利は史上7番目の若さと、記録ずくめの優勝だった。

同組で4打差2位に入った通算5勝の藤田は「まるでタイガー(ウッズ)と回っているみたいだった。(無観客だが)ギャラリーさんに見てもらいたかった。女子ツアーだと思うけど、男性がいた。あの年で、あんなに完成されたゴルフしていたら天才」と驚きを隠さなかった。ウエアは赤いシャツに黒いパンツ。本人に意識はなかったというが、ウッズの勝負服と同じ。まさに若き“女タイガー”だった。

フィリピンと日本の二重国籍で、高校3年の昨年は米国ツアー最終予選会(QT)と日本のプロテストを受検。米QTに落ち、日本のプロテストに合格したため、米国の名門ジョージア大に決まっていた進学を断り、日本でプロ生活を選んだ。「世界一になりたい」と尾崎将司のジャンボ門下生となり指導を受け、1年もたたないうちに結果を出した。

試合後、師匠から祝福のコメントが届いた。「パワーとスピードを兼ね備えた体を作り上げた本人の努力以外にない。米ツアーでトップになりたいと目標にしているが、それが見えてきたんじゃないかな。まずは1勝、良かった」。伝え聞き「ありがたいです。そういう言葉を聞けるのはすごくうれしい」と喜んだ。

黄金世代から、ミレニアム世代を飛び越え、新世紀世代の超新星、ニューヒロインが今季ツアー2戦目で誕生した。「日本で経験を積んで、米国のQTへ行けたら」。また1人、世界へとはばたく期待の星が飛び出した。【桝田朗】

<笹生優花(さそう・ゆうか)アラカルト>

◆21世紀生まれ 2001年6月20日、フィリピン生まれ。日本人の父正和さんとフィリピン人の母の長女で弟3人、妹1人。

◆あこがれは宮里藍 父が通うゴルフ練習場についていき、宮里藍、ポーラ・クリーマー(米国)の活躍する姿を見て、8歳からゴルフを始める。よりよい練習環境を求め小学3年で日本からフィリピンへ。

◆英才教育 正和さんの小さいころから下半身を鍛える指導で、小学3年時のドライバー飛距離70ヤードが、1年に30ヤードずつ伸び、13歳以降は年に50ヤードずつ伸びていったという。現在の平均飛距離は260ヤード。

◆逸材 14歳でフィリピン女子ツアーで優勝。15年にはサントリー・レディースで国内ツアー初出場。18年アジア大会はフィリピン代表で個人と団体で金メダル。19年にはオーガスタ女子アマで安田祐香とともに3位。同年、フィリピン女子オープンで優勝した。

◆プロ転向後4戦 東京・代々木高在学中の19年に日本のプロテストに合格。これまで米ツアー2試合、国内ツアー2試合で計4試合に出場。開幕戦のアース・モンダミン・カップは5位。2戦終え賞金ランキング2位。所属先はフィリピンの港湾管理会社。

◆趣味 ピアノを弾くこと。

◆サイズ 164センチ、59キロ。

▼98年度生まれの「黄金世代」は渋野日向子、勝みなみ、畑岡奈紗ら逸材ぞろい。続くポスト黄金世代となる00年度生まれの「ミレニアム世代」に古江彩佳、安田祐香ら。01年度生まれの「新世紀世代」は笹生と山下美夢有、西郷真央の3人がプロテスト規約改定で、昨年高校生で合格。