プロ9年目の香妻陣一朗(26=フリー)が1イーグル、4バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの68で回り、通算8アンダーの272でツアー初優勝を果たした。首位と1打差で迎えた最終18番で、第2打をピン横20センチにつけてイーグルを奪い逆転。18年初優勝の姉琴乃(28)に続いた。日本選手の男女きょうだいによる国内ツアー優勝は3組目となった。昨年覇者の金谷拓実(22=東北福祉大)は通算4アンダーで5位だった。

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香妻の逆転の条件はイーグルだった。最終18番で首位とは1打差。「イーグルをとるしかないと思って打った」。ピンまで約230ヤード、5番アイアンでの第2打は、グリーンの傾斜をスルスルと駆け上がり、ピンそば20センチにピタリとついた。関係者の歓声で、無観客で常に静寂だった会場が最後に沸いた。狙い通りのイーグルで首位木下稜介を逆転、初優勝を果たした。

小技に磨きをかけて今季に臨んだ。今大会のパーキープ率はトップの91・67%で、パーオン率も6位。「自分はアプローチとパターでスコアをつくるゴルフ。いいパーパットが入ったのが一番の要因かな」。この日も8番で約10メートルのバーディーパットを沈めるなど、要所で技術が光った。

折れそうな心を支えたのは家族と仲間の活躍だった。宮崎・日章学園高3年だった12年にプロ転向するも、なかなか勝てず18年に賞金シード落ちも経験。「もうゴルフはいいかなと思った時もありました」と振り返る。それでも同年に姉の琴乃、小学生の頃から共に戦ってきた出水田大二郎(27)がツアーを制する姿を目にし「勝つまでは辞められない」と前を向いた。

優勝が決まるとコース脇で見守っていた出水田らから500ミリリットル15本分のウオーターシャワーを浴び、仲間らと抱き合うと涙がこぼれた。姉琴乃に続く優勝で、3組目の男女きょうだいによる国内ツアー優勝も達成。「親に感謝したい。報告したいことはいろいろあります」と笑った。次戦は宮崎県で開催される19日開幕のダンロップ・フェニックス。「また良いプレーをして優勝を目指してやっていけたら」。最高の知らせも手に、2週連続優勝も狙っていく。【松尾幸之介】

▽木下稜介(最終18番で香妻にかわされて初優勝を逃し2位)「彼には素直におめでとうと言いたい。勝つって難しいですね。この経験を次に生かしたい」

<◆男女きょうだいによる国内ツアー優勝>

1組目 中嶋常幸と妹中島恵利華(現在の登録名はエリカ)の兄妹。86年に常幸が8勝、恵利華が2勝を挙げた。

2組目 宮里聖志、次兄優作、妹藍の3兄妹。藍が03年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン、04年に聖志が沖縄オープンゴルフ、13年に優作が日本シリーズJT杯で初優勝した。

3組目 香妻琴乃、陣一朗の姉弟。琴乃が18年マンシングウェア東海クラシック、陣一朗が今大会で初優勝した。

<香妻陣一朗アラカルト>

◆生年月日 1994年(平6)7月7日

◆身長、体重 165センチ、71キロ

◆出身 鹿児島県。中学2年時から宮崎の中高一貫校である日章学園へ転校。

◆ゴルフ歴 2歳から始め、横峯さくらの父、良郎氏主催の「めだかクラブ」に加入。姉の琴乃と共に腕を磨いた。

◆ベストスコア 60(18年ダンロップ・スリクソン福島オープン第3ラウンド)

◆趣味 音楽鑑賞

<香妻陣一朗の使用クラブ>

▼1W=スリクソンZX7(シャフト=フジクラ スピーダーTR弐757 長さ45インチ、硬さフレックスX、ロフト9・5度)▼FW=テーラーメイド Mグローレ(3W=15度)▼UT=スリクソン ZX(2U=18度、3U=20度)▼アイアン=同 ZX5 4I~5I、同Zフォージド 6I~PW▼ウエッジ=クリーブランド 588 RTX2・0 プレシジョン フォージド(52度、58度)▼パター=オデッセイ ミルドコレクション#6M▼ボール スリクソンZスター