2年ぶり通算5勝目を挙げた桜井心那の復活を支えた、ツアー通算7勝の吉田弓美子(38=アマノ)は“ノーギャラ”でキャディーを務めていた。ホールアウト後、取材に応じた吉田は「今回はゼロ(円)で。『いらない』って言って」と明かした。昨季終了後のオフに、一緒に食事に行った際、桜井から当初は冗談でキャディーを誘われたが、吉田が主戦場とする下部ツアーの日程なども考慮し、早々に今大会で初タッグを組むことが決まった。
通常、プロキャディーは、1試合、キャディーを務めることで、いくら支払われるかの基本的な契約に加え、選手が獲得した賞金に応じて、ボーナスが支払われる。賞金の10%程度というケースは多く、プロキャディーであれば“基本給”に加え、150万円近いボーナスが支払われるのが一般的だが、今回の吉田は報酬を一切受け取らないと明かした。
吉田は「同じプロゴルファーとして、すごく尊敬しています。これから彼女は、目指すべき場所が決まっていると思う。若い選手の活躍を見るのは楽しいので、これからどんどん、活躍していってほしいなと思っています」と“姉貴肌”たっぷりに語った。学年では16個上の吉田は続けて「私ぐらい年齢が離れている人に、物おじせずに、しゃべってくれる子って少ないので。そういう意味でも、かわいい存在ですし、いいゴルフをするので、しっかり、これからも頑張ってほしいな」と、明るい笑顔を振りまいて話した。
金銭面ではなく、先輩として、友人として、桜井の復活の手助けをしたかった。「65」をマークして、7つ伸ばした第1ラウンドに対し、前日23日の第2ラウンドは「70」にとどまった。自信を失いかけていた桜井に対し、吉田は「こういう経験は、この先も必ず起こることだから、これを乗り越えていかないといけない。今回は、いい経験になるから、しっかりと乗り越えていこう」と、熱い言葉で桜井の奮起を促すように語りかけていた。過度な優勝への重圧を感じることなく、首位から最終日に臨み、優勝を争ったことこそが、今後に生きると諭していた。
「選手ばかりの目線じゃなくて、キャディーさんになって、プロゴルファーのゴルフを見るというのは、経験してみたいことでしたので」と、キャディーを快諾した理由を説明した。「これで彼女は乗り越えたので、私から言うことは何もないです。もともと何も言うことはないですけどね。上手ですし。その道の方々に見ていただくことが絶対に必要。私はこれで、お役御免かなと」。スランプを乗り越えた、妹のような、娘のような友人の復活を見届けた。次週、自身は下部ツアーに出場するため、早速、25日には鳥取県に移動する。「疲れたから、出るのやめようかな」と、冗談めかしたが、ゴルフへの情熱は、今も人一倍。桜井の優勝に刺激を受けて、1つでも上の順位、1打でも良いスコアを目指していく姿勢は変わらない。【高田文太】

