名将・小出義雄氏率いる豊田自動織機は、新エースに成長した新谷(にいや)仁美(21)が2年連続優勝の鍵を握る。

 かつてのスーパー高校生・新谷も、実業団入り後は山あり谷ありだった。3月の名古屋国際女子マラソンでは29キロでスパートしたが、終盤で失速し8位。「ここまでを振り返ると泣きそうになる」。だが4月に5000メートルで4年ぶりに自己記録を更新。東日本予選でも、世界陸上に出場した各チームのエースを抑えて区間賞を獲得した。今回も新谷が3区で快走すれば、層の厚い豊田自動織機が優位に立つ。小出氏が「(マラソンで)2時間16分台を出せる」という逸材は「去年の優勝も、東日本の区間賞も自信になった」と連覇を見据えた。

 もう1つのエース区間である5区は脇田茜が候補。07年世界陸上に出場した実力者だが故障も多い。07年の東日本予選で失速して、チームは予選落ちした。苦い経験を踏まえ、今季は食事改善などで線の細さを解消しつつある。ポテンシャルは高いだけに、けがなく練習を積めれば日本代表の常連となれる逸材だ。

 不安材料は永田あやの調子だ。前回アンカーでトップに立った永田が、不調で東日本予選のメンバーから外れた。小出氏は「あやが入れば20~30秒はよくなる」とキーマンの復調に期待を寄せる。美濃路から“Qちゃん2世”が生まれるか、注目が集まる。