2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムの聖火台設置場所について、政府の検討チームがまとめた「基本的考え方」案が27日判明した。

 想定される設置エリアを四つに分けて比較した結果、新国立競技場内で選手が競技を行う「フィールド部分」と競技場の外をそれぞれ「技術的制約が少ない」と優位に評価した。残る競技場の屋根の上と、観客席のあるスタンド部分は「課題が多い」と否定的な見解が示された。検討チームは28日の会合で案を了承する見通しだ。

 詳細な場所やデザインは大会開催の1年半前までに決める。今後、高評価の2エリアを軸に検討するとみられ、費用負担も含めて大会組織委員会、東京都などと協議を進める方針を明記した。

 案によると、競技場内と場外は共に聖火の燃料を供給する配管や、構造物の重さに関する検討が必要としたほかは、制約要因が少ないと指摘した。場外は、観客から聖火台が見えなくなるとのデメリットを挙げた。

 屋根の上では50~70%の観客席から見えなくなる恐れがあり「最も課題が多い」と判断。スタンドに置く場合、収容人数が減る上、一部で観戦に支障が出るとし、慎重な検討が必要とした。

 国際オリンピック委員会(IOC)は聖火台の設置場所について「競技場の全ての観客から見える位置」などの原則を設けており、場所の確定にはIOCの承認がいる。さらに大会組織委が担う開会式の演出と密接に絡むため、検討チームは詳細な場所は特定せず、方向性を示すにとどめた。

 仮に、場内に置く場合は競技自体に支障を来す恐れがある。政府筋は「開会式と大会期間中で設置場所が変わるケースもあり得るのではないか」との見方を示した。

 建設計画で聖火台の設置場所が考慮されていなかったことが3月に表面化。問題対処のため、遠藤利明五輪相をトップとする検討チームが設けられた。