6日に急性心筋梗塞のため都内の病院で死去した、日大柔道部総監督で全日本柔道連盟理事の高木長之助(たかき・ちょうのすけ)さん(享年68)の通夜が10日、東京・練馬区の江古田斎場で営まれた。

 全柔連強化委員長で日大監督の金野潤氏ら約1000人が参列。大学時代の恩師の早過ぎる死に金野氏は「怒られた記憶しかありませんが、強くしようという情熱でした。通夜のたくさんの参列者を見て、改めて偉大さが分かりました」と振り返った。

 印象に残っている出来事の1つとして、94年全日本選手権で初優勝した時のことを挙げた。「初めて『良かった』と言ってもらえた。僕が現役の時は、4年に1度ぐらいしかほめられなかった。期待してくれてたからこそ厳しく、そこには愛があった。『先生に優しくされたら終わりだ』とまで言われていた。普段飲まない人なのに、優勝した時だけはお酒を飲んでくれました…」。言葉を振り絞るように言った。

 日大OBでリオデジャネイロ五輪100キロ級銀メダルの原沢久喜は「『柔道ばかり強くてもダメだ。人としても強くなれ』と、何度も言われました。リオ五輪では銀メダルに終わってしまったので、東京五輪では先生のためにも金メダルを取って恩返しします」と誓った。

 高木さんは、千葉県白浜町(現南房総市)出身。73年世界選手権の重量級(93キロ超級)で金メダルを獲得した。84年には13年間勤務した警視庁を退職し、母校の日大柔道部の監督に就任。翌85年の全日本学生大会では、金野氏らを率いて優勝した。00年シドニー五輪男子81キロ級金メダルの滝本誠氏ら多くの教え子を指導した。

 葬儀・告別式は11日午前10時から同所で営まれる。