5大会ぶりの決勝進出を目指した天理大(関西1位)が、7連覇中の帝京大(関東対抗戦1位)の厚い壁に阻まれた。前半は5-14と健闘するも、試合巧者の帝京大にたたみかけられ、後半19分までに5-35。天理大初のフィジー人留学生となるFBジョシュア・ケレビ(4年)は3トライと健闘も「チームが負けて、むっちゃ悔しい。最後なので悔しい」と日本語で振り返った。

 ケレビにとっても挑戦の4年間だった。同じフィジー出身のフランカー、フィリモニ・コロイブニラギ(4年)の父を介し、日本でのプレーを希望。だが、当初は受け入れ先がなかった。「関西なら天理大だ!」。関係者を通じ、ラグビー部に働きかけたが「フィジー人選手はこれまでに取ったことがなかった」と小松監督はすぐに首を縦に振らなかった。13年、コロイブニラギと2人で天理大の練習に参加。小松監督に「ひょろひょろで全く使い物にならなかった。でも『天理でラグビーをしたい』という姿勢はすごく見られた」と真摯(しんし)な姿勢が認められ、晴れて漆黒のジャージーを身にまとった。

 だが、日本語が話せない。日本航空石川から来るトンガ人選手に通訳をしてもらうところからのスタートだった。地道な努力で、今は取材にも日本語で対応する。「関西で優勝して、日本一を取ることを決めていた。むっちゃ悔しい」。何度も、何度も、悔しさをにじませた。

 今春からはトップイーストリーグ(トップリーグの2部相当)に所属する「秋田ノーザンブレッツ」でラグビーを続ける。「高いレベルでやりたいので、僕がトップリーグに上げようと思う」。この悔しさは、次のステージで晴らす。