金メダルを取る-。全日本スキー連盟は11日、ジャンプ男女ら平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)代表11人を発表。ジャンプ女子の高梨沙羅(21=クラレ)が、2大会連続で選出された。札幌市内で行われた記者会見では「金メダル」という言葉を何度も口にした。優勝候補として臨んだ14年ソチ五輪は4位に敗れる屈辱にまみれた。あれから4年。悔しさをバネに、心技体をそろえ「大人」になった高梨が悲願に挑む。

 髪を20センチも切った「五輪イヤー・バージョン」のショートヘアで現れた高梨が、輝くメダルへのぶれない思いを伝えた。緊張感を漂わせる会見などで「金メダル」という言葉を5度も口にした。4年間で募らせたリベンジの思いは深い。「ほっとしている気持ちもあるがここからがスタート。気を引き締め直していきたい。平昌では金メダルを目指す。ソチの借りを返したい」と真っすぐ前を見て言った。

 屈辱のソチ五輪が高梨を「大人」へと変えた。4位に敗れた4年前。「メンタル面が弱かった」と振り返り、技術だけでなく、心の強さを求めた。集中するあまり周りが見えなくなる自分を反省。ジャンプ台では他の選手の動きを観察し、周囲を見渡すことで広い視野を養った。

 以前はジャンプひと筋だったが、20歳を迎えて化粧を覚え、さらに趣味のドライブで積極的に遠出をした。現地の人に触れ、見聞も広めた。「対応力、臨機応変に動けるようになった。それは4年前より上がった。成長した自分がどこまでやれるか楽しみ」と自信を見せた。

 今季のワールドカップ(W杯)4戦で3位が2度。昨季、王手をかけた同競技で男女を通じて最多となる54勝目を前に足踏みする。2勝で分け合うアルトハウス(ドイツ)ルンビ(ノルウェー)が今季急速に力をつけ、今は追われる側から追う立場に変わったが「接戦になれば女子が注目されて盛り上がる」と歓迎する。もう目の前の結果に一喜一憂しない。競技を楽しむ姿が今は頼もしく映る。

 今日12日(予選)から札幌、蔵王とW杯日本4連戦(団体戦を除く)を迎える。「内容を求めた先に結果がある。1戦1戦やるべきことに集中して平昌につなげたい」。荒ぶる思いを内に秘め、4年分の思いを2度目の大舞台にぶつける。【松末守司】