張本智和(14=エリートアカデミー)はフットワーク、フォアハンド、サーブの進化が、偉業につながった。もともとバックハンドの技術は天下一品だったが、瞬発力、ジャンプ力は中学生レベル。昨年はフィジカル強化に励んだ。動ける幅は広がり、フォアでも強い球を打ち抜く体力がついた。バックとフォアともに格上でも打ち負けなくなった。

 普通の選手はどこかに弱点があるが、今の張本には見当たらない。前陣でも中陣でも後陣でも強い。攻めても守っても強い。100年に1人の天才、怪物といえるが、もちろん、その裏には誰よりも熱心な練習への取り組み、集中力の高さがある。誰よりも早く来て、誰よりも遅く練習場を出る。その日々の積み重ねが大きな差になっている。

 ジュニアも優勝したが、張本の目標は優勝ではなかった。1ゲームも失点しないで勝ち続けることを目標に置いた。だから決勝の第2ゲームで1-7となっても捨てない。集中力を落とさず、粘りきって逆転し、完全優勝につなげた。高い目標を掲げ、ぶらさずに実現するメンタルの力も強さにつながっている。ジュニアに続き、14歳208日で一般男子シングルスを制した。100年後、いや一生破られないと思う。(日本卓球協会強化本部長)