レスリング女子で五輪4連覇を達成した伊調馨(33=ALSOK)が、日本協会の栄和人強化本部長(57)からパワハラを受けたとする告発状が内閣府に出された問題で、同氏が監督を務める至学館大の谷岡郁子学長(63=日本協会副会長)が15日、愛知県大府市の同大で会見した。

 会見した最大の理由は、一連の報道の中で和人氏の娘希和(24)がワールドカップ(W杯)代表に選出されたことに疑問を呈したテレビ番組があったことだという。谷岡学長は「この事実をもって、私の怒りは沸点に達しました」と憤り、質疑応答を除いた約40分間のうち、序盤の約7分を希和の代表入りの正当性に費やした。

 和人氏のパワハラやセクハラの告発や報道について「全く根拠のない」「訳の分からない風評被害によって(学生が)深く傷ついている」「まか不思議なことばかり続いている」と見解を述べた。告発状は確認できていないとし「ぜひ私どもにそのコピーをください」と訴え掛けた。心神衰弱で静養していた和人氏は徐々に体調が回復しているといい、同氏サイドが「重大な人権侵害。名誉毀損(きそん)」として訴訟の準備をしていると明かした。

 栄氏からパワハラを受けたという告発状を受け、内閣府は13日に伊調の聞き取り調査を行った。谷岡学長は「彼女は言葉が足りない。監督はいっぱい言葉を言うが文脈がはっきりしない。そういう2人がコミュニケーションギャップ、誤解、行き違いがあったりすることはあるかと思います。不平不満は互いに言ったかも知れませんが、それは告発の問題、あるいは人身攻撃といった筋合いではないだろう」と述べた。