男子は平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)銀メダルでSP5位の宇野昌磨(20=トヨタ自動車)がフリー179・51点の合計273・77点で、2年連続の銀メダルを獲得した。4回転ジャンプを3本転倒などミスが重なり、首位のチェン(米国)と47・63点と史上最大差で敗れた。

 滑り終えた宇野の目には涙がにじんでいた。「汗か、涙か判断してください」とごまかした。ただ、悔しさの中でも「やることはやった」という満足感は残った。2日前のSPでは右足甲を痛めた影響でジャンプの構成を落とし、失敗。4回転ループや同フリップは、練習で全然決まっていなかった。この日の朝まで悩んだ末、「跳べなくても、誰に何を言われてもやりたい」。悔やみたくないと、五輪と同じ4回転3種4本に挑んだ。

 今季はGPファイナル、4大陸選手権、五輪、世界選手権と国際主要大会はすべて2位に終わった。ひょうひょうとした態度の裏に隠すのは生粋の勝負師の顔。趣味のゲームはもっぱら対戦系。卓球で弟に負けると、隠れて黙々と練習し、すぐにリベンジした。自他ともに認める「負けず嫌い」がこのまま黙っているわけはない。

 未定だが来季はルールが変わる。男子はフリーが4分30秒から4分に縮まり、その中でジャンプの本数が1本減る。宇野はその中で「ループ、フリップは当たり前。サルコーにも取り組んでいきたい」と、今季途中から封印した4種類目の4回転に再び挑戦する意向を語った。「この試合があったから今の自分があると、将来振り返られるような生活を今後送っていきたい」。この涙は決して無駄にしない。