日本大アメリカンフットボール部の宮川泰介選手が悪質な反則行為で関西学院大の選手を負傷させた問題で、日大は23日、内田正人前監督と井上奨コーチが東京都内で緊急記者会見を開き、関学大の選手を危険なタックルで負傷させた選手への意図的な反則指示を改めて否定した。内田前監督は大学の常務理事の職務を一時停止して謹慎する意向を示し、井上コーチは辞任を表明した。宮川選手や関学大の選手、保護者らには謝罪した。

 内田前監督は「ルールを守るという原則でやっている」と強調し、悪質な反則タックルについて自らの指示を否定。宮川選手に「やらなきゃ意味ないよ」と言ったのかとの問いには「その言葉は絶対に言っていない」と述べた。井上コーチは「宮川選手にクオーターバックをつぶしてこいと言ったのは真実」と認めた上で「けがをさせるという目的の指示はしていない。過激なことは言ったが、正直覚えていない」と説明した。

 日大は24日にも詳細な経緯などについて関学大に再回答する。指導者からの「1プレー目で相手のクオーターバックをつぶせ」という発言の解釈を巡り、選手の受け止めと首脳陣の主張は食い違っており、事態は平行線をたどる見通しだ。関学大の選手側が大阪府警に提出した被害届は移送され、警視庁が傷害容疑を視野に捜査している。

 関学大アメフット部は23日、日大からの回答と、それに対する見解と対応について、26日に兵庫県西宮市内で会見すると発表した。会見には鳥内秀晃監督、小野宏ディレクターのほかに、負傷した選手の父親の奥野康俊さんも出席する予定。

 規律委員会を設置して調査を進めている関東学生連盟も月内には臨時理事会を開いて追加処分などを協議する方向で調整していると23日に発表。既に宮川選手には対外試合出場禁止、内田前監督には厳重注意処分を科している。

 宮川選手は22日の記者会見で、6日の定期戦前日に井上コーチを通じて伝えられた「つぶせ」という前監督からの指示は「けがをさせろ」と解釈したと説明。日大は会見を受け「最初のプレーから思い切って当たれという意味で、誤解を招いたとすれば言葉足らずだった」と説明していた。