ショートプログラム(SP)首位の宇野昌磨(20=トヨタ自動車)がフリーで183.96点、合計276・45点で優勝し、4季連続のGPファイナル(12月、カナダ・バンクーバー)を決めた。

冒頭の4回転サルコーは回転不足となったが、続く4回転フリップ、同トーループと続けて成功。終盤では予定していた連続技が2つ抜けたが、最後まで集中して滑りきり、22・17点差で圧勝した。

「後半は失速してしまいましたが、気持ちでは負けていなかったと思う」。ミスがあっても「自分の練習を信じたジャンプができた」と表情は晴れやかだった。初出場で銀メダルに輝いた平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)を経ても、宇野のスタンスは変わらない。日々の練習で課題を見つけて、それをクリアしていくことに何よりの喜びと達成感を見いだす。

10月、GPシリーズに向けた会見に出席した宇野は今季のテーマを「信じる!」と記し、その意味を説明した。「信じるというのは難しいところはあります。まず信じられるだけの練習をしなければいけない。もちろん信じたからって絶対できるってわけではない。信じて、うまくいかなかったときの悔しさは計り知れないかもしれないですが、信じずに逃げるよりも信じて向き合って、試合で全て失敗も成功も受け入れようかなと思っています」。日々の練習に力を注ぎ、自分を信じて試合に臨み続けている。

新たに超えるべきものが見つかった。SPでは4回転トーループで転倒。回りすすぎるという課題があらためて露呈した。9日のSP直後は、次戦のGPファイナルで成功させるため、ジャンプ構成を変える案を口にしたが、この日は一転。樋口美穗子コーチに「もう少しこのままやりたい」と志願した。「もう数回挑戦して、どうコントロールするか、向き合っていきたい」。また、自分を信じられるよう練習を積むだけだ。