日本体操協会は10日、都内で臨時理事会を開き、リオデジャネイロ五輪女子代表の宮川紗江選手(19)が会見で指摘した一連のパワハラ騒動で資格停止になっていた塚原光男副会長(70)、塚原千恵子女子強化本部長(71)に対し、処分を課さないことを決めた。

9月に設置された第三者委員会の答申を受けて、この日、議論した結果、パワハラはなかったと結論づけた。資格停止処分も解かれる模様。

この日、43ページに渡る「調査報告書(要約版)」が公開された。

報告書によると、2018年7月15日に速見コーチによる暴力指導が宮川選手へ行われたことを前提に塚原夫妻から「あなたはたたかれたことがありますね」などと繰り返し宮川に問いかけ、速見コーチの指導の問題点を指摘するとともに非難。同コーチ以外の指導を受けるべきことを示唆し、「自分(塚原千恵子女子強化本部長)ならもっと教えられる」とのニュアンスでの発言は認められたとした。

同発言は、宮川選手が会見で発言した速見コーチとの引き離し、千恵子氏が監督を務める朝日生命体操クラブに勧誘しているとの疑念を生じさせたことは否めないとしている。

しかし、速見コーチの宮川選手への暴力行為は複数人から目撃されており、宮川選手が暴力を容認する姿勢を見せたため、正す意味で「自分ならもっと教えられる」という発言を行ったとも考えられるものであるとも記載。

千恵子氏の言動自体は、宮川選手を速見コーチからの引き離し、朝日生命体操クラブへの勧誘目的と認定するまではの根拠は見当たらないという見解を示した。