初の8強入りを目指した富士見(静岡)は、2連覇を狙う金蘭会(大阪)に0-2で敗れた。接戦の末に第1セットを23-25で落とすと、第2セットはエンジンのかかった相手に力の差を見せつけられた。試合後、伊藤麻緒主将や山崎ひなのら3年生たちは、晴れ晴れとした表情を見せ、2年生の藤村若奈は、再びこの地へ戻ってくることを誓った。

富士見の選手たちは、前年の女王に対し、勇敢に立ち向かった。第1セット。一時のリードから、次第に点差を広げられる展開だったが、13-17から山崎が左からの強烈なスパイクで3連続得点。互角に渡り合った。「緊張して自信もありませんでしたが、やっていくうちに、相手が金蘭会という意識がなくなりました」。わずかの差でこのセットを落としたが、チームは自信を深めた。

しかし、金蘭会は第2セットで2年生エース宮部愛芽世(あめぜ)を投入。攻撃の幅を広げた相手に、富士見は防戦一方となった。終盤に主将の伊藤がスパイクやブロックで意地を見せたが、力の差は歴然。伊藤は「相手は、2セット目では全然違うチームになった。対応力の高さを見て、これが強豪だと感じました」と振り返った。

ただ、全国トップ級を相手に自分たちのバレーができた満足感は、大きかった。山崎は「相手を本気にさせたかなと思ったら、少しうれしくなった」と言うと、伊藤は「ボールを呼び込んで、勝負どころで打ち切れた。相手が強かったですが、満足です」と、すっきりとした表情だった。

そんな中、終了直後に大粒の涙を流した藤村は、今大会の経験を糧にするつもりだ。「今まで3年生の存在が大きくて頼りすぎていた。今度は自分たちがチームを引っ張って、頼られるようになりたい。日本一を目指せるような練習をする」。2年生が決意を固めた。【河合萌彦】